
にけ
@nilce
2026年3月3日
決壊(上)
平野啓一郎
読み終わった
@ カフェ
下巻部分も含めての読了直後メモ
理解してもらえない苦しみ
という言葉が浮かぶ。
崇はその万能さゆえに、親からも、教師からも、弟や友達からも尊敬されつつも、どこか畏怖され、私たちとは違うよね、と線を引かれている。
見えているものが違いすぎて、話せば話すほど遠くなり、親密さを築くのが難しい。
友哉や666のいた場所も線の向こう側だったのだろうと思う。
友哉のような親から真実とは違う解釈を塗りつけられる窮屈さもたまらない。本人の感情には無関心。これも理解されない苦しさだと感じる。
線を引かれることとは無縁の平凡な少女であったからこそ安由美は自分と同じ線の向こう側に生贄として突き落とされたのか?
常に線の内側で平凡な暮らしをしてきた良介も同様に。どこかに心情を吐露すれば理解されるかもという期待が見えたからこそ、生贄として選ばれてしまったのか?
他者に苦しみをなすりつけた悪魔たちは連帯している(自分たちの線を繋ぎうちに入れる)が崇はそうはしない。
崇には多くの友人がいる。それぞれの深度で理解され居場所を持ってきた。親密さには欠けるかもしれなくても、孤独を引き受けながら生きていける。
この存在も悪魔は許せなかったのだろうか。
