管太 "叫び" 2026年3月3日

管太
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2026年3月3日
叫び
叫び
畠山丑雄
川又青年が命の男の話。  川又青年にとって聖は、天皇陛下だった。天皇にお伝えしたいことがあった。早野にとって聖は、しおりさんだった。しおりさんに伝えたいことがあった。二人は一心同体であり、共鳴し合っていた。川又青年を庇うために最後の行動に出た、という見方もできる。  なかなか虚を突かれる終わり方。初読時はアヘンで頭がおかしくなった男の話だったのか、と思った。が、多分それでは小説の読解が浅い。  早野も川又青年も、夢を持っている。『「男子たるもの」川又青年は空気を震わすように声を張った。「愛するものを恋闕の情を以てありたけの花で埋め尽くすこと、それ以上の本懐はありえない」』(127頁)とあるように、花で埋め尽くすという点で、二人の夢もどこか共鳴しているように見れる。だからこそ早野は最後の行動に出た。全てを投げ打つことになると知って。  叫びとは何だったのだろう。早野にとって叫びとは銅鐸の音でもあり、その叫びによって啓蒙を受ける。この叫びは川又青年の叫びでもあったのかもしれない。川又青年の叫びに呼応して、早野は生きていたのかもしれない。これはテクストを離れすぎているか。  警句のようなフレーズが所々にあり、知的な小説でもある。終わり方には驚いたが、どこか芥川賞受賞する理由もわかる気がする。万博に行ったこともあったのでなかなかのリアリティも感じられた。ファンタジー性も個人的には好き。機会があれば再読したい小説。
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