彼らは読みつづけた "死神" 2026年3月3日

死神
死神
田中慎弥
*本の中の読書* 《「いらっしゃいませ。」 向うはいつも通り小声で言うばかりで、目を向ける様子もなく、レジの前の低く小さな椅子に座り、手許の本に集中したまま。読みながら客への一言も忘れないのは、本と客とどちらをより強く意識していることになるのだろう。この女の人にとっては本の中の世界と店とが完全に同じものだから、両方いっぺんに集中出来るのかもしれない。本屋の店番じたいが、本の中の世界にいるのと、同じなのだきっと。》 — 田中慎弥著『死神』(2024年11月Kindle版、朝日新聞出版)
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