プールに降る雨 "九月、東京の路上で" 2026年3月3日

九月、東京の路上で
関東大震災発生時に起きた、二千人を超えるともいわれる朝鮮人(中国人、および朝鮮人に間違われた日本人含む)が虐殺された事件。 各種資料から引用した証言とともにあのとき路上で何が起こったのかを詳細に描き出す。 この事件については教科書の簡潔な記述から得た程度の知識しかなかった。 朝鮮人というだけでその場で殴られ蹴られ斬られ撃たれ、あまりにもかんたんに命が奪われる異常性。 読み進めるほどに、なぜこれほど残虐な行為がまかり通ったのか、疑問と怒りとかなしみが募った。 この本の発行は2014年。SNSで韓国人差別が常態化し、嫌韓本が多く出版され、ヘイトスピーチ解消法が施行される数年前。 それから十年あまり、差別の対象に別の民族や国籍が加わっただけで、あいかわらずネット上でヘイトを目にしない日はない。 それどころか、多くの政党・政治家は票欲しさに挙って「外国人問題」を掲げて排外主義をあおり流れに棹さす現状。 「虐殺に加担した当時の人びとは無知で愚かだったのだ、特殊な状況下で起きた過去のことだ」と片付けることはとてもできない。 著者が最後に提言するように、自分と属性の異なる人びとを「非人間化」せず、顔の見える隣人として接していくことで、同じことを繰り返さないよう抗っていくしかない。 何年にもわたって朝鮮人追悼式に追悼文を送ることを明確な説明もなく取りやめている小池都知事に読んでほしい。
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