
和月
@wanotsuki
2026年3月4日
83歳、もふもふのネズミを拾う。そして人生が変わる。
サイモン・ヴァン・ブーイ,
寺尾まち子
読み終わった
面白かった!
前半結構ゆったりとした進み具合なので少しずつ読み進めていたけど、後半からはグイグイ加速度が増していってとても良かった。
現代日本で生活しているとハツカネズミってなかなかお目にかかれないので、正直読み始めた時に「素手で触れたりして菌とか大丈夫なのかな……?」みたいな邪推ばかりが先行してしまった。だけど段々ともふもふの賢いネズミに愛着がわいてくる🐁
ネズミとの出会いをきっかけに、モノクロで単調だったヘレンの人生が色づいていく描写も素敵。本人が単調と語っているとはいえ、紅茶、べイクウェルタルト、テレビ、お風呂などを楽しみに日々を過ごしているヘレンの姿も読んでいて良いな、と思う。べイクウェルタルトが食べてみたくなった!
時折孤独の影が忍び込んでくる所は胸がキュッとなる。心に残った一文を引用。
「最後まで残されたことの唯一の救いは、誰よりも愛したひとたちが、そのひとがいないせいで自分がいま味わっている苦しみを経験することはないとわかっていることよ」
なんて苦しく、哀しく、愛に溢れた言葉なんだろう。このバックボーンがあるからこそ、別れの苦しみを痛いほど知っているヘレンがシップスワースとの繋がりを経て外の人々と関わりを持ち始める描写に深みが出る。
そして、次第に元の自分を取り戻していく様子が読者に勇気や希望を与えてくれるのだと思う。
登場人物もみな心の優しい人間が多くて、ネズミと人間の友情を尊重してくれるのも素敵。映像でも見てみたいなと思っていたら、あとがきで映画化の話が出ていた。いつか日本でも観られたら良いなあ。



