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和月
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@wanotsuki
マイペースに読みます📚
  • 2026年6月7日
    月とコーヒー
    月とコーヒー
    ちびりちびりと珈琲を飲む時みたいに、少しずつ味わいながら読んだ。 3年前、本を読むためのホテルで選書サービスを利用した時、オススメされた本だった。結局一晩では読めず、いつかきちんと読もうと思っていて今になってしまったけれど、再会できて良かった。 一般的な起承転結でいうと「…承転け……」みたいなお話が多くて、そこが好き。 素朴だけど誠意のこもった不思議な食べ物がそこかしこに登場して、どれもとっても美味しそう。私は特にたまごのケーキが食べたい! 生きていくために必要な「太陽とパン」よりも、日常を繰り返していくためにあってほしい「月とコーヒー」を描きたい。あとがきを読んで、本書のタイトルの付け方含めて素敵だなぁと感じた。 真ん中でキラキラと光り輝いたり、声高に主義主張を訴えてくる文章も面白いけど、時にはポッと小さく暗闇を照らしてくれる蝋燭のような物語に心を委ねたい。そんな気分の時にぴったりの本。
  • 2026年6月6日
    信仰
    信仰
    現時点、名刺代わりの小説10選はなんですか?という問いに答える場面があれば確実に挙げる作品。 コンビニ人間面白かったし、短編で読みやすそうだし読んでみよ〜と気軽に手に取ったら年間ベストどころかここ数十年で出会ってよかった本ベストに入りそうでビックリ。 こういう突然雷に撃たれるような出会いがあるから、読書って止められない。 自分の中に根付いた常識や正解という強い概念、圧力、枠組みをがたがた揺さぶられて、それが痛気持ちいい。 村田沙耶香さんが描く世界や存在の、無機質でシステマチックな人間臭さが好き。冷たいやさしさが愛おしくなる。 どのお話、エッセイも心に響いたけれど、「彼らの惑星へ帰っていくこと」は心底読めてよかった。 この言葉たちと出会わずに一生を終えなくて、本当に良かった。私も私の「宇宙人」との時間を大切にしたい。 心や体に浸透する文章が多すぎて、感想を言葉で表現することが難しい。例えば、洗脳ではない!と声高に主張するその言動が洗脳ではないと何故言い切れるのか?とか。私が私に刃を向けて、傷つけて、殺して、宥めて、抱きしめてあげる。均一と混沌が同居する「私」を、好きでいてくれる友人達を愛すること。 全部の言葉が、踏むと血が出る硝子の破片であり、宝物のかけらだった。 何度も読み直したいし、私の人生に刻みたい作品。
  • 2026年6月4日
    ふつうの人が小説家として生活していくには
    さくさく読めて面白かった! 津村記久子さんの関西弁が、音に乗って聞こえてくるような軽快さで楽しい。聞き手の島田さんは津村さんと同世代だからか、お互いの好きな音楽や本の話もテンポよく会話が進む。2人の話すコンテンツを全然知らなくても何か楽しそうだな、聴いてみたいな、と思えてくる文章。 タイトル通り、小説家としての生活を送るまでのルーツや習慣についても細やかに語られていて、「小説を書く人」が別世界の人間ではなく、私達読者と地続きの存在であることに気付かされる。 継続する力と他者に流されず興味のあるものを深堀りする探究心。この2つをしっかりと携えて生活をすれば、小説では無くても何かは生み出せる。そんな気持ちにさせてくれる一冊だった。 好きだった一文 「生来はなにかとか才能とかの話をしてない。でも、行動はできるでしょう。いい人間になれなくても、いい行動は取れるでしょということ。」 個人的に、本を読む人・書く人は行動よりも思考型というか、色々と細かく考える性質の人が多いように感じている。まず動くことから始めてみる、という津村さんの方針は前述の偏見から大きく外れていて新鮮だった。 感情に左右される優しさよりも、規範に基づいて親切に振る舞えることを倫理的だと話す著者の考え方は、さっぱりとしていて湿度がなく好ましい。 津村記久子さんの作品をもっと読んでみたくなったし、作中でオススメされていたティモシー・スナイダーの『暴政』は、読みたい作品リストに追加した。多方面でタメになる作品だった。
  • 2026年6月3日
    BOXBOXBOXBOX
    BOXBOXBOXBOX
    霧のたちこめる宅配所で働く作業員たちの物語。 靄がかった空間と、レーンにひたすら流れてくる無数の箱、淡々と仕分けをする人々。作品全体が無機質な気配に包まれているが、時折ふつふつと積もり続けた感情が爆発したかのような濃い描写が表れる。だがその場面も流動的で、再び霧の中で見えなくなる。 なんとも形容し難い閉鎖的な世界が息苦しく、読んでいると新鮮な空気が欲しくなる。 読書でハッピーになりたい!みたいな気分の時にはオススメできないが、感情の煮凝りを文学的に浴びたい時は是非読んでみてほしい。 人間が単純作業の肉体労働を続ける中で、視野狭窄になり、段々と生活や感情の歯車が狂っていく様子が丁寧に描かれている。 結末含め面白かった。
  • 2026年6月2日
    キッチン常夜灯(1)
    読んでみたかったシリーズ。てっきりお店を営む主人公目線で物語が進むと思っていたので、お客さんサイドだったことにびっくり。でも、あたたかく優しいキッチン常夜灯の空間がこちらにも伝わってくるようなほっこりした作品だった。 正直、シェフの過去や常連さんの思い出話は結構唐突な感じもした。やはり1番初めのお話だからこそ、舞台を整える上で説明的になるのは仕方ないかなぁとも思う。また、最近私が読んでいた作品傾向が清濁併せ呑む登場人物が多めだったこともあり、善人(多少クセがあっても根は良い人)に囲まれた世界観が眩しく感じた。でもこういう空間がフィクションの中にはあってほしいと思うし、実際疲れた時に読むと気持ちが上を向いて、お腹が空いてセルフネグレクト防止にも繋がる気がする。 シェフの作る料理は本当に惚れ惚れするほどおいしそう!焼きリンゴのパイやホワイトアスパラのポタージュ等、食べたすぎて料理の説明を何度も読み返してしまう一品が沢山あった。私の家の近所にもこんなお店があってほしい……と切望した。 疲れた心にじんわりと染み渡る優しいお話だった。機会があれば続編も読みたい。
  • 2026年5月29日
    この場所であなたの名前を呼んだ
    NICU(新生児集中治療室)を舞台に、小さな生命に向き合う両親や医療従事者達の姿を描いた連作短編集。読みやすい文章に引き込まれ、一気に読み進めてしまった。 著者の実体験を基に生み出された作品だと知り、いま信用できない語り手のラジオで息子氏が元気に過ごしているエピソードを聴くと泣いてしまうかもなぁと思った。 元来庇護欲をかきたてられる存在(赤ちゃんや犬等)を巡る話に弱く、涙腺を刺激されることが多いのだけど、今回は「願う場所」で両瞼が腫れる程に涙が止まらなかった。 本作を読んでいると、産まれたばかりの生命は、大切に庇護されるべき存在であると同時に、懸命に生きようと足掻くたくましい存在なのだと気付かされる。また、お話の中では誰かの言動が別の誰かの原動力になる場面が何度も出てくる。人間は相互に影響を与えあいながら生きているのだと、普段当たり前すぎて見過ごしていることを再確認させてくれる一冊だった。
  • 2026年5月29日
    いくつもの週末
    江國香織さんのエッセイも読んでみたい!と思い手に取った。 著者の文章で描き出される結婚生活は、甘味と苦味が織り交ざったような読み心地がある。エスプレッソとシナモンロールを交互に食べた時みたいに、どちらも愛おしく感じられる。 あとがきを読むと、私が生まれる前に書かれた作品のようで、時の流れを感じさせない瑞々しさが気持ち良いなぁと改めて思った。 どれも読んでいて楽しかったけど、「歌」がとても好き。愛は過酷。結婚は満身創痍。だけど、分かっていても尚、日々の小さな幸せの風で癒しながら、傷を抱えて生きていく。 1人の整った完璧な空間から、歪で苦しくて騒々しい世界に飛び込ませてしまう厄介な愛。すごく危険なのにとっても素敵で、そのアンバランスな魅力に惑わされてしまう文章だった。 好きな人と結婚したことがゴールではない。いつ何時その形が変わってもおかしくないことを示唆した上で(その方が安堵できると考えた上で)、今日、今、2人でいられることの幸福を綴る。とても良いエッセイだった。
  • 2026年5月28日
    生殖記
    生殖記
    人間という生物が拡大、発展、成長に向かって走り続ける様を、その理由や意味を、ここまでつぶさに言語化した本に初めて出会った。 何だかすっっっごくライトな口語を用いた学術書を読んだような気分でもある。面白かった。 まずこの視点で物語を動かそうという発想が斬新。しかも元は新聞連載と聞いて尚のことビックリ!新聞連載ってお堅い印象があったけど、昨今は変わってきているのね……。 作中に登場する尚成は、周囲の人間達と思考や言動にかなり距離がある。それは、尚成の性的志向や置かれた環境による人格形成が起因している。周囲以上に物事に対してぐるぐると思考を繰り返す彼が主軸となることで、多くの人が持つ偏った言動を客観視することができる。 他方で、彼単一の視座で物語が進行するとそれはそれで一定の偏りが生まれる気がする。その点、今回の語り手は尚成と同一的な存在でありながら、人を達観して観察できる立ち位置だった。特殊な視点によって、言葉をフラットに物語る工夫が感じられた。 「生産性のない人はいない」という言説がポジティブに発せられ、受け止められる現代。 それは、裏を返せば「生産性を持つことが正解である」という画一的な思想に染められた発言ではないか? 本作の鋭い指摘を受けて、私達に根付いた無意識下の本能の強さが改めて怖くなった。 尚成は様々なことに対して思考を続け「しっくり」させることで、自分を拒絶する世界で息をし続ける選択をしていた。私は世の中の様々なことに対して深く考えすぎずぼんやりと感覚を鈍らせて、生き続ける選択をしているので真逆の人だなぁと感じた。でも、「今ここ」に集中することで翌日にコマを進める過ごし方はとても共感出来たので、感情移入しすぎないけどシンパシーは感じながら読み進められた。 この一冊で人間という種の本能や幸福について理解するのはあまりにも早計なので、本作の参考文献等を読み進めながら、ゆっくりと私の中のしっくりする幸福を見つけていきたい。
  • 2026年5月25日
    雪のしおり 冬のアンソロジー
    あえて夏のはじめに読んでみる。清涼感が得られるかも?という実験的読書。冬の冷たさがとても遠く、どこか非現実に感じられてこれはこれで面白い読み方だった。 古今東西、様々な作家が描く冬の情景。雪に彩られた世界は眩いけれどどこか孤独な気がする。 その先にある春に思いを馳せたり、秋の終わりを感じたり、あたたかさとの暫しの別れやあたたかいものへの希求する心を綴った作品が多くて良かった。 心に残った一文 「二月はものの凍る月、寒さの頂点の月、思いは自然、あたたかいものへ傾くのである。」 幸田文さんの作品は今回初めて読んだ。とても素敵な文章で、柔らかい物の見方をする方。アンソロジーでは無かったら出会えなかった作家さんだったので、とても嬉しい。 小池昌代さんの百人一首に対する現代詩役、鑑賞の言葉も素晴らしくて、他の歌に対しての文も読みたくなった。 アンソロジーって、全員の作品が自分の好みに合うとは限らないけれど、宝探しみたいなワクワク感がある。好きな作家目当てで読み始めたはずが、思わぬ出会いが待っていることもあって、そこが面白い。 たくさんの美味しいつまみ食いが出来た一冊でした。
  • 2026年5月24日
    アナヅラさま
    アナヅラさま
    ホラーっぽい表紙とタイトルだけどこのミスで賞をとってるからミステリーなんだ〜と読み始めた。読了後の所感としてはちょうど中間のジャンルだった。 主人公を筆頭にキャラの個性がしっかり立っていて、探偵事務所の面々に魅力を感じたからこそ、シリーズ化が難しい物語だったのが口惜しい。3人でドタバタと探偵稼業に明け暮れてほしいなぁという願望を抱いてしまった。 アナヅラさま視点に切り替わる場面が序盤からあるので、犯人の存在を明示した上でお話が進むのが新鮮で面白かった。 文体が軽快というか、かなり現代的な言葉遣いを用いて書かれているので、さくさくと読める。ラノベを読んでいる時に似た感覚。重厚な探偵小説では無いが、昨今流行りのホラー要素を盛り込みつつ、人間の二面性について鋭く切り込んだ作品で楽しめた。 デビュー作とのことで、良い意味で粗さを感じられる。次回作も期待。
  • 2026年5月20日
    お守り短歌アンソロジー わかれる
    他の方の感想を読んでいると、心に響く短歌や歌人が分散していて、お守りになる言葉は人それぞれ異なるんだなあと感じた。 五七五七七の限られた言葉、「わかれる」というひとつのテーマに絞っていても、全然違う世界が展開されているのが素敵。 私は特に、木下龍也さんの「チープカシオ」と谷川電話さんの「風の複製」が好き。 別れの質感は全く異なるけれど、お二人が痛みと共生する姿勢や、傷をなぞってその思い出を振り返る感覚がとても良かった。 各歌人のあとがきも必見。私が言葉に出来なかった思考を言語化してくれたようにも感じるし、全く思いつかなかった感覚を深く静謐な眼差しで言葉にしてくれている。 どれも読んでいて味わい深く、全員の他の作品集も読んでみたくなった。 特に好きだった歌 「釣り針のような六画目のせいでのみこめもはきだせもしない死」
  • 2026年5月19日
    コンビニ人間
    コンビニ人間
    「人間」の持つ気持ち悪さと「人間に似た生き物」の持つ薄気味悪さを両方感じさせてくれる作品。面白かった。 主人公は周囲から奇妙がられる存在で、多くの人間が抱く道徳や善悪の感覚を持ち合わせていない。彼女は彼女なりの思考で行動するが、社会のコミュニティでは普通ではないと判断される。その結果、他者を観察して動きを模倣して、社会と迎合する人物になりきる、コンビニ店員の古倉恵子が生まれる。社会の正常な部品。普通に擬態する術を身につけた主人公は、働く自分の姿をそう表する。彼女ほどでは無いにしても、ありのままの自分では過ごせない場面も多々ある。赤ん坊だって両親の模倣をして育っていくことを考えると、主人公の行動はある種、社会に属する人間の一側面をデフォルメしているのではないか?と感じた。 個性を削ぎ落とさなければムラから排除される、という同調圧力の強い環境で、主人公が苦悩するという設定はよくある。一旦は社会に溶け込んだように見えても、月日が流れることで歯車が合わなくなり、平穏な日常が崩壊していく様は王道のストーリー展開だ。 しかし本作の最大の魅力は、そこからまた一捻りあるラストに向かう所なのだ。社会と遮断されない為の役割が、生きる意味だと気付く。手段が目的に形を変える。個性と社会の乖離に苦悩する人間が別の動物に生まれ変わる。この羽化に至るまでの描写が、この物語の真骨頂だと感じた。
  • 2026年5月18日
    100分間で楽しむ名作小説 夜市
    夜市がずっと読みたくて見つけて手に取ったのだけど、風の古道は含まれていないことに後で気付いた。もう一作は今度絶対読もう……。この薄暗く妖しくどこか美しい世界観、本当に素敵。115頁の短編だけど、20年前に書かれた作品とは思えない彩りを感じる。少しも古びた感じがしない。主人公と行動を共にするいずみの考え方や言葉がとても好きだった。彼女の存在が、物語全体を重くしすぎず、軽やかさを生んでいるように思う。 好きな言葉 「あなたの周りがゴミでできていたからといって、世界の全てがゴミでできているとは限らないでしょ」
  • 2026年5月18日
    ハヤディール戀記(下)
    下巻も無事読了。上巻に比べるとミステリよりはファンタジーに雰囲気が寄った印象。黒幕が結構分かりやすかったが、その分真相を知りたい焦燥感でページをめくる手が止まらなかった。 残忍で卑劣な事件の描写が読んでいてかなり辛かった。その分、どうか彼らが報われて欲しい……という気持ちのままに読み進めたので、最後まで読んで天を仰いだ。 ファンタジーの世界観の中で、王国の歴史を辿る物語としては読み応えがあり面白いし、冒頭にある「長く語り継がれている騎士と巫女の恋物語」という言葉を鑑みると結末にも納得がいく。 ただ、やはり大人向けファンタジーということもあり、どこかほろ苦い読み心地だった。 最後まで好きなキャラクターはリルとカルヴァでした。
  • 2026年5月15日
    I
    I
    Nに引き続き本の作り自体に仕掛けが潜んでいる本作。 事前に殺すルートか救うルートか分かった上で選択する形かと思っていたので、どっちか分からない状況で選ぶことになり悩みに悩んだ。 結論、私は救うルートになったけど、前半の苦しいパートのどうしようもない連鎖が好きすぎて、殺すルートの方が個人的には刺さったかもしれない……。著者はこの作品をどっちから書き始めているんだろう。気になる。 逆で読んだ時にどうなるか想像しながら読み進めていたので没入感は薄かったけど、上手いことお話を作るなぁと感動した。叙述トリック的な要素もあり、そこが特に好き。物の見事に騙された! 救うルートであれ完璧なハッピーエンドとはかなり異なるテイスト。物語としてはバタフライエフェクトを端々に感じさせる作品で、その反面、読む順番を変えると全く別のドミノ倒しが始まる所が、読書体験としても非常に面白かった。
  • 2026年5月12日
    ハヤディール戀記(上)
    町田さんの新境地、王道ファンタジー! 夜空に泳ぐチョコレートグラミーを読んで以来の作品で、わくわくしながら読んだ。 ラブロマンス要素もあるが、ミステリ要素がかなり面白く、上巻の後半からは謎を追う主人公の姿にぐいぐい惹き込まれた。意外と血腥い描写もあり、凄惨な事件の真相が下巻でどう展開していくのか楽しみ。 時系列の切り替わりが多めなので、最初の方は入り込むのに時間がかかった。でも、シリアスな話の流れの中で時折挟まる過去の思い出が心を和ませてくれる。 リルが好きで感情移入する余り、エスタとリルファンのロマンスにそこまで心寄せられなかった部分はあるけど、2人が笑顔で再会できたら良いな……。
  • 2026年5月11日
    魔法律学校の麗人執事 2 ブラッディ・バトル
    1に引き続き面白かったー!!勿体ないと思いつつ先が気になってページをめくる手が止まらなかった。The王道のラブコメファンタジーが気持ち良い。 スミレちゃんがこんなに可愛い存在になるとは思ってなくて最高。椿の無意識王子様ムーブも読んでいてたまらないし、かと思えば伊織やマリスにときめくシーンはとても可愛くて……今回も美味しいところを詰め合わせセットになっていてよかった。 椿の出生の秘密も徐々に明らかになりそうで、続刊も楽しみ!
  • 2026年5月9日
    1+1(ワンプラスワン)
    食べ物と飲み物、人と人とのペアリングについての24の短編集。冒頭には美味しそうな料理のイラスト集もあり、目の保養だった。 これ食べたい!となるグルメ小説というより、自分にとって特別な人と味わう食事って良いよなぁとしみじみ思わせてくれる作品。意外な組合せも色々と登場するので、実際に試してみたくなる。甘党かつ紅茶党なので、ミントティーと羊羹、ラプサンスーチョンとダイジェスティブビスケット、阿里山金萱茶とパイナップルケーキは近々食べ合わせてみたい! お話として好きだったのは〆鯖とズブロッカ、ふきのとうのフリットとレッドアイ。大切な存在との思い出は、時に苦しく悲しい別れと混じりあってしまうこともある。それでも、楽しかった記憶は過去に囚われるためではなく、前に進むためにある。そう思わせてくれる物語だった。
  • 2026年5月8日
    神の蝶、舞う果て
    神の蝶、舞う果て
    上橋さんの物語は、一度本の世界に入り込むとそのまま抜け出せなくなるような没入感があり、本当に大好き。獣の奏者は確実に人格形成を担ったシリーズの1つだし、香君も寝食忘れて読み耽った大好きな作品。 そんな上橋さんの原点回帰の本作。著者特有の細やかな情景描写や設定もさることながら、『神の蝶、舞う果て』以降の作品に通じる要素も感じさせる展開が複数あり、物語達の萌芽や創作の軌跡を辿る喜びに満ちている。 主人公・ジェードの人物像も、荒削りな若さが瑞々しくて好ましい。相棒のルクランとの関係性や、今後の彼らの世界の行方をもっと読みたくなった。 本作含め、上橋さんの作品を読んでいると人間の視点だけでは測れない世界の美しさ、恐ろしさ、偉大さについて気付かされる。ご本人は寡作と仰られているけれど、その一冊一冊の素晴らしい重みを噛み締めながら、何度も読み返したいと思う。
  • 2026年5月6日
    寝ながら学べる構造主義
    寝転んで新書を読むと大体眠気に負けがちなんだけど、この本はタイトル通り寝ながら学べてしっかり面白かった! 名前は聞いたことあるソシュールやフーコー、ラカン等の思想家が提唱した、構造主義の起源となる考え方を、例え話を混じえて分かりやすく説明してくれる。なるほど……となる部分もあれば、ちょっと読み直さないと理解が難しいかな?となる部分もあるけど、一貫して読んでいても飽きない所が良い。まずここから入って、気になった人物の著作を参考文献から探って読んでみる第一歩として最適な一冊だった。 本書を読んでいて、過去に尾崎翠作品を研究している時にフロイトについて興味を持ったことを思い出したので、これを機に『精神分析入門』を読んでみたい。
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