7235 "別れを告げない" 2025年3月14日

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2025年3月14日
別れを告げない
別れを告げない
ハン・ガン,
斎藤真理子
現在のなかなかな情勢下で読めてよかったなあとおもう小説でした。積もりつづける雪の冷たさや切断された指の患部に数分おきに針を刺す治療といった震えを伴う痛みが、過去の惨劇を直視するときに感じる慄きと響きあって、読んでいるじぶんも身震いしているかのような心地がしました。隠された、あるいは深く知られていない過去に、光を当てる、という言いかたをよくするとおもうのですが、訳者あとがきによるとハン・ガンは〈光がなければ光を作り出してでも進んでいくのが、書くという行為だと思う〉と言っているそうで、そういった作者の姿勢にも胸にぐっとくるものがありました。
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