
もちこ
@mochiko24724
2026年3月7日
エピクロスの処方箋
夏川草介
【比較】
お医者さんのお仕事小説で印象に残っているのは…と記憶を掘り起こしてみても、思い出せるのは同じ夏川草介さんの「神様のカルテ」くらい。
あまり「医療小説」という難しそうな、政治的な思惑が絡んでドロドロしていそうな話は、私は好まないのだと思った。
そんな中でも夏川先生の描く医療小説は読みやすく、生死と向き合うシーンは胸にグッとくるけれどしんどくなりすぎない、微妙な塩梅なのだ。
それは、夏川先生の持つ優しさが根底にあるからだと思う。
命の重さを知っているからこそ、それとの向き合い方を教えてくれる。一緒に考えようとしてくれる。その優しさが伝わるからこそ、安心して読める。
【抽象】
幸せに人生を終えるとはどういうことか、を考え続けるということ。
そして、それに対面している人にどう寄り添うかを考え続けるということ。
【発見】
患者や家族側の心情は描かれない。あくまで語り手は医師(雄町先生、花垣先生、南先生、西島先生)。
でも、読者としては、描かれていない患者の気持ちはよくわかる。なぜなら、当事者になり得る可能性が存分にあるから。自分に投影しやすい立場だから。
だからこそ、想像しにくい医師たち側の心情のみを描くことで、夏川さんは私たち読者に、医師の本心を伝えようとしているのではないかと思う。
勝手に患者側の気持ちを想像して描くのではなく、「私たち医師はこういう志を持って、医療を行っているのです」と教えてくれているような気がする。
【流行】
夜間勤務や休日診療に、若い医者や研修医たちが入りたがらない。働き方改革の影響が、医療業界の人手不足をより深刻にさせている。
そんな今時な事情を目の当たりにして、気が引き締まる思いになった。
なんでもかんでもワークライフバランスが最高、とはいえない現場も、現実もある。ということに気付かされた。
【不易】
命との向き合い方。