amy "ゆっくり歩く" 2026年3月7日

amy
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@note_1581
2026年3月7日
ゆっくり歩く
ゆっくり歩く
小川公代
気になっていた小川公代さんのエッセイ。 母親の介護や生活のなかで新たに得た視点、感覚、体感を借しむことなく開陳してくれており、内容としてはかなり重厚なのだが小川さんの社会や他者へのまなざしにぬくもりがあるためか、読みながらも苦しくはならない。ちょっと渋みはあるが、やわらかい口当たりのあたたかい台湾茶を飲んでいるようだった。 小川さんの著書を読むたびに驚くのが(とはいえまだ何冊かしか読めていない)、知識のレンジの広さである。 ロマン主義文学や医学史が専門とはいえ、宮沢賢治や心理学、どこからでも作品や知識を引っぱってきて、自身の体感と絡めているのはすごい。 「ネガティブ・ケイパビリティ」や「ケアの倫理」という概念を知ったのは小川さんの著書からであった。 著書の一覧から見れば、小川さんがいかに精神的に活動をしてきたのかがわかるし、その功績は素晴らしいものだと思う。共著などを含めると何冊書いてるんだ…?と思う 小川さん自身も本書のなかで横臥者への寄り添いが足りなかったと書いているが、これだけのタフさゆえに寄り添いの想像と行動がうまくハマらなかったということもあるだろう、逆にそのタフさがあったからこそ.母の生活にともに歩みながらも、あれだけの活動ができるのだろうと思う。 第八章『ゆっくり歩く』でも書いていたが、人間、一人で生きることは困難である。 個人的には行政の制度は家族の最小単位を個人にすべきだと考えているし、それに伴い福祉もそれに準じたかたちにすべきだとは思うが、だとしてもあらゆる場面で、あらゆる意味において、真に人間が一人で生きることは難しい。身体的にも精神的にも。 だからこそ他者の尊厳を踏みにじらない程度、互いに支え合うような社会設計を進める必要があると思うし、ケアについてあらゆる文学作品や歴史から考え抜いてきた小川さんの結論は、尊厳とケアをし合うことの両立のヒントになるのではないかと思う。 余談だけれど著者近影で松葉杖を持ってピースする小川さんにふふっとなった。
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