
miho
@mehow
2026年3月8日
僕たちの青春はちょっとだけ特別
雨井湖音
かつて読んだ
高等支援学校での日常の謎解きを描く連作ミステリ中編集。
プロローグ、主人公の架月は、入試の試験の面接でどんな高校生になりたいかと質問されたとき、友達がたくさんいる高校生になりたいと“思ってもいないこと”を答える。でもほんとうは、“架月はただ、他のみんなと同じように高校生になりたいだけなのだ”。
その架月が学校生活で生じる小さな事件を、同級生や先輩や先生に助けられながら解決していく。ほんとうに“ちょっとだけ特別”だけど普通の高校生活がみずみずしく描かれている。
この小説の美点のひとつは、架月たちを障害名で説明していないところ。架月たちひとりひとりがどんな子でどんな願いを持っているのか、事件を調べていくうちに真相とともにだんだんとわかってくる。架月のクラスメイトの深谷の抱える思いはとくに切ない。
読みながら、何年か前、高等支援学校の先生が「みなさんの想像よりずっと普通の高校生活なんですよ」と話していたのを思い出した。
架月たちと同じ世代の子どもたちはもちろん、教育学部の学生さん、通常学級の先生や特別なニーズのある子どもの保護者にも読んでもらいたい作品。

