むくげ "正欲" 2026年3月8日

正欲
正欲
朝井リョウ
読んでいて、作者の世間に対する俗にいう"解像度の高さ"が伺えた。あまりにリアルで、煮詰めた闇の中にこちらまで引きずり込まれそうな感覚を覚えた。辻村深月『傲慢と善良』を読んだときと似たような感じがする。確か解説を朝井リョウが担当していた。 結局のところ、作中で何かしらが解決するようなこともなく、むしろもやもやと闇に包まれたまま物語が終わってしまった。わたしたちは主題である"多様性"に対する材料だけを与えられ、どう思いましたかと感想を求められている気分になる。何が正しいのかは判断できないが、誰しもが誰かの持つマイノリティに加害的である側面があることだけは忘れないように心がけたい。 性欲の対象が水であることについて、その柔軟性や影響の受けやすさなど、主題を投影しやすいことから選択されたのでは、とも思う。
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