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むくげ
むくげ
@hachisu_no_flower
本が読みたくて始めました
  • 2026年5月21日
    丕緒の鳥 十二国記
    『十二国記』シリーズを読んでいると、世界設定のリアル感と細やかさに唸らせられることが多い。これまでは政関連の法や人事の体制、また妖魔や麒麟などのファンタジー要素について特に感じさせられてきたが、本作では主に市井を舞台として、民として生きていることの臨場感を非常に感じた。 天上人である国の官吏と地方の官吏、そして地方の官吏と民たちとの間にはそれぞれ海のような溝があり、その溝をなんとか越えて想いを伝えようと必死に役目を果たす登場人物たちに心打たれた。 あらすじでは「男たちの」生き様という紹介だったが、最後の『風信』では女性視点で男性の官吏たちの言動が映し出されている。このあたりを考察してみても面白いかもしれない。また、物語が『丕緒の鳥』の鳥で始まり、『風信』の鳥で終わるのがとても流れとして美しいと思った。
  • 2026年5月14日
    改訂完全版 異邦の騎士
    作品の大部分を登場人物たちのドラマ(もしくはサスペンス)として読んだ。トリックによって展開が二転三転するわけだが、どの部分にも悲壮感があり、沈痛な気持ちを何重にも味わうことになった。 御手洗がある登場人物を呼ぶ際に、「◯◯ちゃん」であったのが「◯◯君」に切り替わったところが印象的。まさしく解答編ということなのだろうか。最後に手紙で犯人視点の心情が吐露される点が『占星術殺人事件』と同様で、踏襲されているのかもしれないと感じた。 重々しい心で読んだが、果たして作中に描かれていた離別の悲しみや絶望を真に共感できる日は訪れるだろうか。訪れてほしくはないが、そうもいかないのだろう。
  • 2026年5月3日
    改訂完全版 斜め屋敷の犯罪
    『占星術殺人事件』が存外面白かったので、期待して読んだ。犯人はなんとなく作中で示唆があったように感じたが、トリックについては全く見当も付かず。真相を知り、一本の道筋に沿って物事が運ばれていったことを悟り、この気持ち良さは格別だなと思った。前作とはまたテイストの違った作品に感じたが、前作に負けず劣らずの傑作と感じる。発想に対する驚きでいえばこちらの方が強かった。 ミステリ部分以外では、この作者の書く人間像や心象がとても文学的(詩的)で好みである。文章にどこか哀しさや切なさを感じてしまう。次の作品も早く読みたい。
  • 2026年4月27日
    こちらあみ子
    こちらあみ子
    どの作品も、人の持つ悪意なき悪意、無意識的な気味の悪さという部分を他人事のような目線で書かれていると感じた。読みはじめのうちは淡々と進む文章を目で追っていくのだが、だんだんと小さな違和感が積み重なっていき、もしかしてこの話の登場人物たちは何かおかしいのではないか、何かを企んでいるのではないかと疑心暗鬼にさせられる。 しかし、何かおかしいことに違いはないが、そのおかしさは能動的な負の言動から来るものではなく、むしろ意図せずに起きた出来事だったり、良かれと思ってしたことが裏目に出たりする気まずさから来るのかもしれない。 中でも、やはり『こちらあみ子』は背筋をぞっとさせながら読んだ。登場人物の誰もがあみ子を見ていない。あみ子の方も、誰のことも(もしかしたらのり君のことすらも)見ていない。一方通行の視線とコミュニケーションを指すのに、「こちらあみ子」というタイトルは秀逸と感じた。
  • 2026年4月25日
    こちらあみ子
    こちらあみ子
  • 2026年4月24日
    占星術殺人事件 (講談社文庫 し 26-1)
    ミステリのため、トリック部分については触れない。触れないが、種明かしを読んで、ぴったりと鍵がはまるような、真実を知ってからは最初からこうなるようにしか考えられなくなるような感覚が凄まじかった。噂に違わぬ傑作だと感じる。 最後の最後に、ある登場人物の心情を汲んで涙ぐんでしまった。地獄から救われたいという気持ちが、ある意味ではアゾート殺人という形に表されたのかもしれない。
  • 2026年4月19日
  • 2026年4月15日
    ハンチバック
    ハンチバック
    この作品は、100ページにも満たない短い小説である。しかし、短いのにも理由があると感じた。この作品の言葉にはとてつもない重みがある。命を削って書いたような、壮絶な痛みを伴う文章がゆえに、この作品はこの長さで終わっているのかもしれない。 自分が涅槃にいる心地というものは、どのようなものだろうか。涅槃という境地に至っているだけで、実感が伴わないとしたら、心の中には泥が溜まっていく一方なのではないか。肺の中に痰が溜まって吐き出せないように。生きるために壊れたのか、使わないから壊れたのかという命題は、まさしくハンチバックはモナ・リザになれないということが答えともいえる。そういう意味で、作中最後の章は、涅槃を清らかに保つために不可欠な部分だったのかもしれない。
  • 2026年4月14日
    ハンチバック
    ハンチバック
  • 2026年4月14日
    君の話
    君の話
    読了後、心に深い傷を負った。わたしの人生において優れた青春というものが存在し、物語に対する共感で落ち込んでいるわけではない。わたしの人生に優れた青春なんてものは存在せず、少しの嫉妬、憐れみ、多数の羨望、また物語が非現実であることへの諦観などから激しく落ち込んでいる。奇しくも、主人公たちの義憶に対する感情と近しいのではないだろうか。 また、義憶の設定における一側面について、作者の三秋縋さんが著す物語との類似性を感じざるを得ない。義憶が現実の思い出に添え木のように(継ぎ目がわからないように気遣いながら)付け足すものだとすれば、『君の話』という作品も、現実に即する世界観に少しのSF要素(ファンタジーかもしれないが)を付け加えた舞台の上で物語が進行していく。 『君の話』のほかには『恋する寄生虫』を読んだことがあるぐらいなので、心に余裕があるときにもっと読んでいきたい。
  • 2026年4月14日
    君の話
    君の話
  • 2026年4月10日
    戻り川心中
    戻り川心中
    花を主に据えた五篇。花が見ていた、とも言えるかもしれない。無駄なものを削ぎ落としたような鮮やかな切れ味を彷彿とさせる文章で、表現や描写という面だけで、読んでいて思わず唸ってしまう。 悲劇的な結末を迎える五篇だったが、その中に日本文学的な(例えば、『曽根崎心中』だとか)悲劇らしさを感じた。「あはれ」とも表現できる読後感かもしれない。そう思うと、花が主軸である(花に人物の一生を重ねる)のも日本人らしさなのかもしれない。 また、(あまり触れるわけにはいかないが)私小説ということについても考えさせられた。改めて、私小説というジャンルは作家自身の人生や心身を燃え上がらせ、切り売りしているようにも感じた。その奔流が読者を魅了するようにも、また作家自身を捕らえ続けるようにも思える。
  • 2026年4月4日
    戻り川心中
    戻り川心中
  • 2026年4月4日
    ハンチバック
    ハンチバック
  • 2026年4月4日
    君の話
    君の話
  • 2026年4月4日
  • 2026年4月4日
    モモ
    モモ
    名作として有名すぎるが故に今まで読めなかった作品。ようやく手に取れた。 想像していたよりも主人公のモモが等身大の女の子だったように思う。主人公特有(補正とも言う)の無鉄砲さ、聖人君子像、万能性などに特別秀でているわけではなく、ちゃんと嫌なことは嫌だし怖いことは怖いと思う子どもだった。ある意味特別でない主人公だからこそ、この物語を読んで他人事と捉えずに済むのかもしれない。 当作品には灰色の顔をした男たちが登場するわけだが、この"灰色"には自分もどこか身に覚えがある。わたしが見ている世界が同じような色に見える瞬間があるし、きっとそのときのわたしの顔色も男たちと同じものになっていることだろう。
  • 2026年3月27日
    さきちゃんたちの夜
    さきちゃんたちの夜
    何かを失くしたり、もう戻れないところまで変化してしまったりした人が、それでも小さな希望を持って生きていけるようになる話が五篇。作者の後書きの通りだと思う。 『キッチン』を読んだときにも感じたが、ささやかな出来事を等身大の幸せに昇華して描き出すのが大層上手い。シリアスな出来事をコミカルさを交えながら、しかしきちんと傷ついているという表現も特徴と言えるかもしれない。 『癒しの豆スープ』がとにかく好きだった。人は一つの行動を取っても良く見えたり悪く見えたりする。それは行動する側の問題でもそれを見ている側の問題でもあるように感じた。ハンドクリームの場面で泣いてしまった。
  • 2026年3月25日
    さきちゃんたちの夜
    さきちゃんたちの夜
  • 2026年3月20日
    君の六月は凍る
    表題作『君の六月は凍る』ともう一篇の『ベイビー、イッツ・お東京さま』で文章のイメージががらっと変わり、非常に驚いた。王谷晶さんの作品を初めて読んだので、どちらの作品がより本性に近い作風なのか気になる。どちらも読んでいてしっかり面白かった。 文章からくる印象はだいぶ異なるが、根底にある主題は似ているように思う。両者とも、名前を持たない、性別を問わない愛が、少なくとも部分的には描かれている。また、(性欲を含む)愛に対する拒絶も描かれているように感じた。 加えて、田舎の持つ閉塞感、絶望、虚無などの感覚なども裏のテーマとしてあるように思う。どちらの作品でも、登場人物が田舎から脱出する場面が存在している。脱出が成功と言えるかどうかは明かされていないような気もする。
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