Ryu "群像 2025年 4月号" 2026年3月8日

Ryu
Ryu
@dododokado
2026年3月8日
群像 2025年 4月号
安藤礼二「大江健三郎論②」を読む。 「「火見子」の口を借りて、大江がここで述べていることは、「怪物」の誕生以降、つまりは『個人的な体験」以降の、大江の小説の書かれ方、その核心を過不足なく語るものであろう。小説とは、いまここに「多元的な宇宙」を創り出すものなのだ。現実から分岐し、現実を分岐させる「多元的な宇宙」の創造こそ、小説を、いまここで書き進めていくということに他なるまい。頭部に「崎形」をもった子どもの誕生をめぐって、この現実とは異なったもう一つの宇宙、フィクションとしての宇宙が形づくられていく。その宇宙、フィクションとしての宇宙は、この後、新たな小説が書かれる度ごとに、さらなる分岐を繰り返していくであろう。しかも、自身の小説原論でもある、そうした「多元的宇宙」が語られているのは、現実とは完全に異なったフィクションのなかで、なのだ。それゆえ、現実はフィクションとなり、フィクションは現実となる。頭部に「崎形」をもった「赤んぼう」が現実の世界で死ぬとしたら、フィクションの世界ではよみがえるであろう。同様に、現実の世界で生きるとしたら、フィクションの世界では死ぬことになる。」225-6
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