
いちのべ
@ichinobe3
2026年3月8日
書斎の死体
アガサ・クリスティ,
山本やよい
読み終わった
本作は「書斎の死体」という、探偵小説ではよく扱われる題材に変化をつける……という試みから生まれたとクリスティによる序文にあり、本編の冒頭でも以下の会話が登場してニッコリしていたら、
> 「夢を見てたんだよ、ドリー。それだけのことさ。おまえが読んでたあの採偵小説——『折れたマッチ棒の手がかり』。書斎の暖炉の前に敷かれたラグの上で金髪の美女が死んでいるのを、エッジバストン卿が発見する。小説のなかでは、つねに書斎で死体が発見される。現実にそんな事件がおきた例は、見たこともない」(p13-14)
もっと直接的なメタ発言もあってますますニッコリしてしまった。
> 「そりゃそうだよ。おじさん、探偵小説って好き? ぼく、大好き。たくさん読んでるよ。それに、ドロシイ・セイヤーズと、アガサ・クリスティーと、ディクスン・カーと、H・C・ベイリーのサインも持ってんだ。殺人事件のこと、新聞に出るの?」(p110)
実際、「誰が彼女を殺したか?」「なぜ死体は書斎にあったのか?」という点での謎解きは意外な展開。しかも、ミス・マープルならではの観察眼、人間関係への洞察によって真実が導き出されて、「この事件の探偵は、ミス・マープル以外あり得なかったな〜!」という満足感まで得られる。
そして最後の最後に付け足されるちょっとしたデザートのようなエピソードが、ユーモラスかつ皮肉めいて、事件の鏡像のようでもあって、粋だな〜と嬉しくなってしまう。

