ちゃそす
@1000book_zautusu
2025年12月9日
歴史とは何か 新版
E.H.カー,
近藤和彦
かつて読んだ
17冊目。
歴史とは、現在と過去との対話である──
What is History?
この哲学的な問いに対する、イギリスの歴史学者カーの、歴史と向き合った積年の思いが籠った連続講演を文書化。
歴史に関する様々な意見、批判に対し、カーのユーモアな語り口で議論が展開されてゆく。
人は未来を見据えることで、初めて過去に関心を持つ。 書中でカーは歴史に関するあれこれを述べているが、中でもこれこそが歴史の本質なのだと感じた。科学に「自然を理解し、制御したい」という欲望があるように、歴史もまた「未来をより良いものにしたい」という願望のもと発展したのだろう。
科学を含む、技術の継承による人類の進歩は明らかで、これからもこのまま進み続けていく未来は簡単に想像できる。だが、それ以外のもの──カー曰く社会環境を制御し、より良いものにしようとする理性的な働きは本当に進歩していくのだろうか。
カーはこの理性的な力を信じていたようだが、私はそこまで楽観的でいられない。やはり、近年になってとうとう資本主義の限界が見えてきているからなのだろうか。
カーは一部のインテリだけが「歴史上の人物」であった過去とは違い、現代では誰もが「歴史上の人物」に成り得るとも述べていたが、それも本当にそうなのだろうか。私たちは、本当に「愚かな民衆」から抜け出せたのだろうか。
スマホやAIを使って文明人ぶっていたって、結局は昔と変わっていないのではないか。誰かが叫ぶ耳障りの良い声を頼りに暗闇の中をさまよっているだけなのではないか。
歴史を学ぼうとすること自体が、客観的に物事を見て未来を見据えようとする理性的な働きなのだとすると、自身も歴史の中の一人であるという自覚と共に歴史という灯りで照らしながら未来へ進むことで、人は「歴史上の人物」足り得るのだろう。