ちゃそす
@1000book_zautusu
2026年1月31日

読み終わった
26冊目。
文化大革命を経て、人の種としての本能に憎悪を抱いた文潔。
彼女が宇宙へ放ったメッセージは、地球外のとある文明へと到達する。
それを皮切りに、地球文明の物理学が崩壊する。だがそれは、始まりにすぎないのであった。
人類文明の現実的生々しさと、地球外文明の空想的不気味さの間を行き来しながらそれらが次第に交わって一本の物語になってゆく。人類文明のパートでは登場人物の動機やメッセージ性が描かれ、一方地球外文明のパートでは主人公と同じ視点で三体文明を解き明かす過程で好奇心が掻き立てられる。
タイトルの通り三体問題がテーマの一つであり、その他にも様々な物理学のあれこれが登場する。私は物理学の見識がないため少し難しい部分もあった。物理を専攻していた人であればもっと本作を楽しめると思う。
地球外生命体に対して「人間にとっては過酷な環境であっても、きっとその生命はその環境に適応して繁栄しているのだろう」と通常は想像する。しかし、本作では地球外生命体にとってもその故郷は過酷な環境であった。そのことが地球との交信であったりその後の地球に対する行いであったりの動機になっている。
かつて新大陸とそこに住む人種を見つけた時と同じだな、と感じた。もしかしたら、未知を理解し、制御しようとする働きが知的生命体にはあるのかもしれない。
また敵の所在によって異星人との関係性は変わるのだろうと思った。
例えばプロジェクト・ヘイルメアリーでは2種族間で共通の敵が外部にあったからこそ協力することができた。だが三体の敵はそれぞれの種族が内側に抱える問題であり、その解決手段を外部に求めたがために対立が起こっている。代わりに、地球外で共通の敵ができたことでこれから地球上では一致団結が起こるのだろう。
中国内で出版された書籍は、冒頭の文革シーンが中盤に移動しているらしい。この改稿が「社会的な理由」によって行われたというところが、まさに中国が文革時代から本質的に何も変わっていないという皮肉に思えてならない。
中国の本を初めて読んだが、人や組織、文化などから中国ならではの空気を感じられた点はとても新鮮な読書体験だった。
今読んでいる本がひと段落し次第、続きを読もうと思う。