ちゃそす
@1000book_zautusu
2026年2月28日
花宵道中
宮木あや子
読み終わった
27冊目。
江戸の吉原。そこは女たちを囲う牢。今夜も彼女らは男どもにへ夢を売る。煙管片手に張り見世から手を伸ばす。
これは夢を夢見て、恋に泣く遊女達の、一日花のような物語。
描写が柔らかく、江戸の風景と一体化していてとても読みやすかった。
初めは短編集なのかと思ったが、単にそういうわけではなく、章ごとに主要人物が交代するだけで全部が一筋の物語として繋がっていた。
生き抜く強さと希望を抱いてしまう愚かさの狭間で揺れ動く女一人ひとりに物語があり、それぞれの出す答えが別の人物に影響を与え、リレーのように続いていく。
幼少期に身売りされた彼女達は今の価値観でいえば不幸なのだろうが、不幸を感じさせないしなやかな強さを彼女たちから感じた。生きる力そのものの強さと言ってもいいのかもしれない。それでもこの作品は吉原の綺麗で儚い一部分を切り取っただけで、実際にはもっと過酷で、醜悪で、不愉快な現実もたくさんあったのだろう。華やかな文化の裏にある闇、男の夢と女の現実。
そうした女郎達の壮絶な想い全てをその胎に溜めたまま、吉原はその最後となる日まで提灯に明かりを灯し続けたのだろう。