
綾鷹
@ayataka
2026年3月9日
生き物の死なせ方
渡邉悟史
「生態系」の管理や維持をはじめとするさまざまな要因により共存・共生を阻まれた生き物たちを人びとは、どのように死なせてきたのか?
具体的に、冷凍死させられるアカミミガメ、プールで生きる交雑種オオサンショウウオ、アニマルシェルターで余生を過ごす猫、1970年代の昆虫採集論争、さまざまなかたちで駆除されるヤマビルについて挙げながら、何らかの理由で生かしてはおけない生き物に対して、人間が何を行なっているのか、その行なっていることをどう考え、感じているのかということを、探索的なフィールドワークや資料調査によって、明らかにした本。
すごい本だった。
書名に衝撃を受け、図書館で借りた本。
生き物を死なせるのは良くないという考えしかなかった自分には、本書で説かれる「我々がいかに避けようとも、他の何かだけでなく、他の誰かが、異なったかたちで死を迎えないような生き方はできない」という当たり前だけど無意識になってしまっている事実や、「私たちはどのような死や死体と共にありたいか、どのような死・死体で自身を構成したいのか」という問いには感情を揺さぶられた。
本書の中で特に「肯定的な死・死体」への考え方が印象に残った。
「肯定的な死・死体」とは、食物や研究対象など人間にとって役に立つもののことを指す。
死なせる必要があるのであれば当然、肯定的な方がいいと思ったが、肯定的であるとそのデザインを疑うことができなくなり、無意識になりがちである。
本書で紹介されているものは、何にも活用されることのない死・死体も含まれる。
しかし、失敗という認識をするからこそ、もっとよい方法はないかと考え続けることになる。
本書で紹介されている事例に関わる人の中には、相反する考えや感情を抱えている人もいた。
生態系を守るという考えも、死なせることによって生まれる辛い感情なども...全て腹落ちすることができるものではないのだと思う。
肯定的であれ、どうであれ改善のために熟慮を重ねる必要があることを忘れてはいけないと思ったし、「かわいそう」、「死なせるのは良くない」、「生態系を守るためには仕方ない」と単純化して思考停止しないようにしたいと思った。
