たかとし "カンガルー・ノート" 2026年3月7日

カンガルー・ノート
「脛にかいわれ大根が生えてしまった主人公が、病院のベッドに乗って様々な世界を旅する話」 これがこの本のストーリーである。何を言ってるの?と思うだろう。私もそう思った。 「なんか意味わからないストーリーの本」として、SNSのタイムラインで流れてきたので、気になって読んでみた。 本当に意味がわからなかった。 足にかいわれ大根が生えてきて、病院行ったら麻酔で眠らされて、気がついたら自走するベッドの上にいて、硫黄泉やら三途の川やらデパートの文具店やらを巡り、目のない母と親子喧嘩をし、そして顔のよく似た垂れ目の女たちと交流し… とにかく脈略もなく、どんどん場面が変わる。その度に「なにこれ、一体、どういうこと?」って困惑する。しかし、物語はそれがさも普通のことのように淡々と進んでいく。 それぞれの場面に意味なんてないのかもしれないし、何かのメタファーなのかもしれない。 ただ、著者のスッと心に入っていくような文体に惹かれ、意味はわからないけれど、気がつくとサクサクと話が進んでいった。文体は好き、だけど意味がわからない。 オタスケ オタスケ オタスケヨ オネガイダカラ オタスケヨ 結局、膝から生えたかいわれ大根は何だったのか、何も解決せずに終わる。 「えぇ、これで終わり?! なにこれ、なんなの???」 というのが読了後の感想。 まるで支離滅裂な夢の中を彷徨っているような小説。これがシュールレアリズム、これがアヴァンギャルドか! 最近、タローマンの影響で岡本太郎にハマっているおかげで、こういう前衛的な作品を受け入れられた。 というか、好きかもしれない。 安部公房は過去に『砂の女』や『箱男』に挑戦したのだが、途中で迷子になり読むのをやめてしまった。だから、この作品が初の安部公房になる。 安部公房がシュールレアリズム作家だというのは知識としてはあったが、なるほど、こういう小説を書く人なのか。 意味は分からなかったけれど、楽しかった。支離滅裂で終始何が起こっているのか分からなかったけれど、飽きることなく最後まで読めた。 安部公房ってこんな難解な話ばかりなのか。その中で、この『カンガルー・ノート』は難解レベルはどれほどのものなのか。 Geminiに、安部公房作品で初心者でも楽しめるのレベル1、コアなファンしか楽しめないのをレベル5にすると、この作品はどのレベルになるのか聞いてみた。 するとレベル1は『砂の女』で、レベル5は『密会』『箱男』になり、その中で『カンガルー・ノート』はレベル4とのこと。そして、これを面白いと言えるなら、安部公房にハマる素質は充分とも。 安部公房、ひょっとして、好きになるかもしれない…
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