
きん
@paraboots
2026年3月9日
むらさきのスカートの女
今村夏子
かつて読んだ
面白い!
とにかく今村作品は、いい意味で期待を裏切ってくる。読めば読むほど、いったい何が起きたのか、起こっていたことはなんだったのかさえわからなくなる感覚に襲われる。動転するという表現が正しいのだろうか…
帯に何も起こらないのに面白いとされているが、果たして本当にそうなのだろうか?今村作品は不穏だとする書評があるが、言い得て妙であるとは思う一方私には馴染まない。
物語にはむらさきのスカートの女、それを観察する黄色いカーディガンの女が登場する。黄色いカーディガンの女の視点を通して、むらさきのスカートの女の出来事が語られている。
が、同時に、物語を読むものは黄色いカーディガンの女を観察することとなる。
最初、むらさきのスカートの女は、ちょっと浮いた、誰がみてもおかしな存在である様に描かれているが、むらさきのスカートの女は物語が進むにつれ社会に溶け込み、ひどく平凡でありきたりな存在にも見えてくる。そしてそれをみている、そしてむらさきのスカートの女に憧れのようなものを抱く黄色いカーディガンの女の方に異常性を感じられるような構成になっている。
書かれた文字は決して難しくはなく、非常に読みやすい、読みやすいが気づくと緻密に組み込まれた構成の中に埋没してゆく感覚がある。
私自身、ついついネタバレを書きたくなるが、物語の面白さや展開を損ねたくないので、この面白さをどう表現したら良いのか戸惑う。
本書、見事というか素晴らしい。
読んだことない方はとにかく読んでみて欲しい一冊。
追伸
巻末のエッセイを見ると、今村先生の人となりがよくわかる気がするし、今後のご活躍を応援したくなるし、後書きにいたっては読み応えのある内容になっていて、読めばなるほどなという視点が展開されている。









