muma "知性について" 2026年2月3日

muma
@casa_muma
2026年2月3日
知性について
内田樹さんの「知性について」を読んだ。面白くて、車の修理を待つ間にディーラーの店内でも読んだ。インスタントのホットドリンクを嗜みながら、小さいカゴに積まれたハイチュウ、ぷっちょ、キャラメルを食べる。この空白時間は娯楽だ。好ましい保留。心のワームホールにそっと収集しておく。ワームホールってなんだよ。 普段は自分がどんなキャンディが好きかなど真剣に考えずに生きているが、あらためてカゴに盛られると、優先的にぷっちょを食べてしまうことに気づく。それ以外のなにもかもが保留されていると、くだらない細部が気になる。それが子どもに戻るということかもしれないと思う。世界が目の前の現実としてしか存在しないように、単純に知覚する。 読んでいる「知性について」は、韓国の読者からQAを募集し、内田さんがそれに答える形で展開する本で、2025年に日本語訳が出た。内田樹さん。武道家であり思想家で、哲学、とくにレヴィナスを研究してきた。韓国での彼は、総合的な知性を持った人物としてけっこう人気があるらしい。彼は知性を個人の所有物ではなく、共有物とみなし、人間全体が知的に慧眼することを目指しているようだった。人間の大きな知性に対して、自身は断片として貢献できればよいという謙虚なスタイル。なかでも共感したのは、良いものを読むと知的回路が活性化してピリピリする、なにかしたくなるという趣旨の記述だった。その気持ちはよくわかる。私は本を読んでいるとたまにそういう気分になる。新しい情報が頭に入ってくることで、明るい未来が目の前にスッと開ける感じ。たとえば家具や建築の歴史をふまえて、自分がこれから新たに作り出せる空間を思うと、胸がピリピリときめく。いい文章もたくさん書きたくなる。そして、ワクワクしすぎると腸が過敏になり、トイレに駆け込む。家を建てる前、内装に関するたくさんの美しい本を開くたびにお腹が痛くなった。 私がいま取り組んでいるpodcastでも、そういうふうに聴く人がピリピリできるといいなと思っている。他者への希望、人間への期待、自分への信頼は知性から始まる。インテリぶりたいわけじゃない。ほんもののインテリじゃないからこそ、私は勉強と非勉強の境界が分かる。日々、好奇心と無関心の反復横跳びをする。怠惰な脳みその中に時々電流が走って目の前が聡明にきらめく一瞬を喜び集めながら、生きることができるのだ。
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