
コダック
@reads_brain
2026年3月10日
蟹工船・党生活者
小林多喜二
読み終わった
まず、29歳で獄中死した小林多喜二(1903–1933)と夏目漱石(1867–1916)がある程度地続きの時代を生きていたことは読後にはにわかに信じがたい。それほど作者によって時代の相貌が違って見えるのか、と驚きである。
作品のなかで描かれる約100年前の労働者たちの環境はあまりに過酷で、労働者を丁寧に扱って使い続けるより、駄目になれば新しい労働者を補充すればよいという発想がむき出しになっていて恐ろしかった。。『蟹工船』は冒頭の一文が有名らしいが、実際に読んでみるとたしかに素晴らしく、作品世界に一気に引き込まれた。
一方、『党生活者』はどこか『1984年』を思わせるところがあり、監視や潜伏、スパイ活動のような緊張感があって物語としても展開があり非常に面白かった。同時に、三・一五事件や四・一六事件といった実在の出来事が背景にちらつくことで、このような思想統制が現実に存在した時代に思いを馳せずにはいられなかった。
短編集としてもその構成が面白く、『蟹工船』における原始的でむき出しの運動と、『党生活者』における用意周到で地下活動的な運動は対照的で、その違いも含めて両方とも強く印象に残った。

