
浮舟
@ukibune_1991
1900年1月1日
山の音
川端康成
かつて読んだ
山の音は虚無と死の匂いが漂い続ける作品だ。
主人公である尾形信吾の"山の音を聞いて死期を告知されたと感じる"という冒頭から始まり、栗の木から栗が落ちた。日まわりが風で折れた。夢で死者と会ったなど死が日常に漂っている。
尾形信吾は老いと死の予兆から息子の嫁である菊子の生命力に魅了されてしまうが、決して自分からは悟られないように過ごしていた。
また、家族にも様々な不幸が訪れるが、尾形信吾は何もせずただ見つめるだけであり、家族はじわじわと崩壊の一途を辿る。
山の音は生と死の対比、人間の業を見事に描き、
その日常で起こる静かな地獄の世界を覗いているような感覚になる。そこから生まれる感情は複雑で言葉では表せない。これこそまさに幽玄的な作品である。
川端康成の最高傑作の一つだと私は思う。