カミーノアン "PRIZE-プライズー" 2026年3月3日

PRIZE-プライズー
一読目は、天羽カインのエキセントリックな言動や編集者との激突を、少し眉をひそめつつも楽しんだ。詰め寄っては反論にたじろぐ不器用さに、どこか惹かれるものがある。 再読すると、物語の焦点が作家から編集者である千紘へと移っていくのが見えてくる。作家を支え理解しようとするあまり、「自分だけがこの人をわかっている」という危うさが生まれる。その熱が、才能への共鳴と依存の境を曖昧にしていく。 当初は、傷を抱えた二人のシスターフッドの物語のように思えたが、終盤は予想外の展開に息をのむ。読み終えるころには、カインの前途を応援したくなっていた。 カインにも千紘にも、それぞれの熱量と必然がある。この小説は、作家の物語であると同時に、作家と編集者の関係の物語でもある。作中の「志こそは、小説の持つ最大のパンチ力だ」という言葉は、著者自身の宣言のように響く。
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