
猫
@mao1012
2025年3月5日

ひとりでカラカサさしてゆく
江國香織
かつて読んだ
八十歳過ぎの三人の男女が一緒に命を絶ったことから始まる残された周りの人達の物語。
血の繋がった他人、といった感じや身内だけどどこか馴染めない居場所のなさが、私が幼少期の頃に良く感じていた漠然とした違和感とよく似ており、亡くなった祖父のことを思い出した。
時折ふと感じる冷たくて現実味が無く、ひとりだけその輪から外されたような感覚が江國さんの言葉で上手く表現されており、そう感じているのは自分だけでは無いのだなと思うことが出来た。
「日々の報告をしたりされたりする相手がいるのといないのとでは、人生の安定感が全然違う。」
誰かが亡くなっても、それがたとえ身内だとしても、変わらず毎日はやってくるのは当たり前だが、その"変化"をどう感じて受け止めるかはその人次第。
ただただ淡々と流れていく物語の展開が江國さんらしい。
亡くなった三人は、幸福な終わりを迎えることができたと個人的には思います

