ひとりでカラカサさしてゆく

7件の記録
- 雫@sukinamono2025年4月2日読み終わった大晦日、老人3人が集団自決をした。 そんなニュースから始まる物語の続きが気にならない訳がなく。 ぐいぐい読み進めてしまった。 3人の老人の家族や友人、教え子、彼らの生活に亡くなった3人の影が色濃く落ちる。 人間は不思議だ。生きている間には頭を掠めもしなかったのに、死んだ途端にその人のことしか考えられなくなる。 家族の「お母さん」、「お父さん」、「おばあちゃん」以外の姿を見たことがない、と登場人物が嘆くシーンで私も同じだと気づく。 彼らがどんな人と学び遊び、どんな人間であるのか、結局私は知らないままいろんな人とお別れをするんだろうなとひっそりと思うのでした。
- 猫@mao10122025年3月5日かつて読んだ八十歳過ぎの三人の男女が一緒に命を絶ったことから始まる残された周りの人達の物語。 血の繋がった他人、といった感じや身内だけどどこか馴染めない居場所のなさが、私が幼少期の頃に良く感じていた漠然とした違和感とよく似ており、亡くなった祖父のことを思い出した。 時折ふと感じる冷たくて現実味が無く、ひとりだけその輪から外されたような感覚が江國さんの言葉で上手く表現されており、そう感じているのは自分だけでは無いのだなと思うことが出来た。 「日々の報告をしたりされたりする相手がいるのといないのとでは、人生の安定感が全然違う。」 誰かが亡くなっても、それがたとえ身内だとしても、変わらず毎日はやってくるのは当たり前だが、その"変化"をどう感じて受け止めるかはその人次第。 ただただ淡々と流れていく物語の展開が江國さんらしい。 亡くなった三人は、幸福な終わりを迎えることができたと個人的には思います