管太
@r_f_1
2026年3月11日
かがみの孤城 下
辻村深月
読み終わった
非常に温かい話。これから登場人物たちはそれぞれの人生を歩んでいくのか、とこの先の彼彼女らの人生が見られないことが少し寂しい。きっと無意識のどこかにこの城での日々が残り続け、前を向いて進んでいくのだと思う。
この小説は女性が書き、多くの女性(もちろん男性にも)に評価されている。小説を書く男から見ると、男がもし作者だったらもっと大味な小説になっていたかもしれないと思った。城のギミックが壮大であり派手にして、登場人物たちももっとある意味で騒がしい個性のある人間を採用しかねない。しかし辻村氏は人間関係における究極の細部に目線を合わせ、仕掛けやキャラクター以外の所で読者を揺る。それがすごい所。
とはいってもこの作品はかなり論理的に作られていて、年代の設定や『喜多嶋先生』の伏線などは非常にうまい。
最後はキャラクターたちが本名になって城を後にし、現実の時間へ帰っていく(336頁)。それぞれの自分を、それぞれの力で進んでいく、希望か感じさせる別れに感じた。
ただ、辻村氏の作品はやはり少し長い気もした。リーダビリティは高いので読みやすいが、やはり長いと私は感じた。