
どくしょ
@kkfm0307
2026年3月10日
菜食主義者
きむふな,
ハン・ガン
読み終わった
生きることへの深い絶望と希望が同時に存在していた……。花々や木々のような美しい生命力にあふれた生き方ができたらどんなに良いか。
かつて朝井リョウさんが、『正欲』の冒頭で「この社会は全員が前向きに生きていきたいという前提で回っている」というようなことを書いていて(私の受けとりですが)、とても共感したんですね。
『菜食主義者』を読んで、人はその社会のうねりに乗れなくなってしまった瞬間に、いろんなことがどうでも良くなってしまうのではないだろうかとあらためて考えていました。一寸先はそこだという感覚でいまも生きています。
ブラジャーをつけたがらなかったヨンヘ、生家からそのまま逃げてしまおうと考えたことがあったヨンヘ。それでもそれなりに生きていこうと考えてたヨンヘを変えてしまったのは夫・チョンの行動だったのに、まったく気づかない彼は、とても愚かで可哀想でもあった。
ヨンヘの夫、義兄、父たちは、自分たちのしてきたことを綺麗に棚に上げながら、逸脱したヨンヘを恐れる。本当にどうしようもないやつらだなと怒りが沸いたし、自分の決めたルールの中で生き直すヨンヘのことを、途中までは美しいと思った。
ただ、ヨンヘがその試みの中で一寸先に行ってしまったことがわかってからは苦しくて仕方なかった……。姉・インへに共感しながら身を捩りながら読み、こういう人間でありたいとも思いました。
『死にたくなったら電話して』と同じく、本当に生きづらいときに読むととってもくらってしまうと思けど、それほど瑞々しい文章に触れられたことは光栄だった。

