
moenohon
@reading0104
2026年3月11日
旅の彼方
若菜晃子
私にとって旅とは、これまで生きてきたなかで出会った人や本や心に残った言葉、学んだ知識や多くの経験、それらから培った考え、あるいは好きなものや懐かしい思い出といった、私の人生そのものと常に交わり密接につながり合っていくということだった。
こうして私は、日常生活を離れて異国へ旅に出ることで、あえて人生の途上で立ち止まり、過去と現在と未来を見つめ直しながら、自分の生を深めているのだと思う。
本書で書かれた記憶の断片や思考の跡は、私自身の体験であり旅であってとりたててなんということのない他の人からみればとるに足らないことの集積である。
しかし人生とは、なんでもないけれども、目には見えないけれども、その人にとってはかけがえのない大切なものごとの連鎖で成り立っている。そのなんでもないようにみえる平凡で平穏なことこそが、普遍的な生の喜びではないだろうか。


