
ユメ
@yumeticmode
2016年10月2日

やわらかなレタス
江國香織
かつて読んだ
感想
江國香織さんのエッセイを読むのは本書が初めてだった。ひそやかで、ひんやりと、きらきらした文章に陶然とする。「言葉に衝撃を受けるとその場から動けなくなる癖」があるという江國さんの、研ぎ澄まされた感覚がひしひしと伝わってくる。大雪の中入ったスターバックスで食べたドーナツ。雨の朝の台所で思い出す、宿酔の後に飲むトマトジュース。情景がそっと胸の内に送りこまれ、五感を刺激する。食べることは、記憶と分かちがたく結びついているらしい。何かを口にして過去を振り返る江國さんに、とても尊い光景を見せてもらっているような気になった。


