
メジロ大好き
@2754natsuki
2026年3月7日
スター
朝井リョウ
読み終わった
スター読み終わった。今の年齢と環境と感性が揃った状態でこの本に出会えたおかげで、「今はそういう時代だから」という考えで蓋をしていた「時代遅れで取り残されても私はこれが好き」という気持ちを掬い上げてもらえた。アイデンティティの心臓部を素手でギュッと掴まれる初めての感覚だった。
コスパ、タイパといった“効率と時間”が重視される現代では、あらゆる娯楽も高速で消費されていく。その結果、消費側が“待て”ない人ばかりになって、そのニーズに応えるために提供する側は中身が薄い気楽に触れられるものをバンバン出す。そうなるとじっくり腰を据えて集中しないと受け取れない娯楽=劇場で観る映画は“待て”ない現代人にとって、気楽に消費するには重すぎるコンテンツ。中身があるようで無い、無料でサクッと気楽にスキマ時間を埋めてくれるコンテンツが席巻する今の時代。
そんな中でも“待てる”人だっているし、すぐに変わる現代の価値観にいちいち合わせたりなんかしないで、世間の目に囚われず“自分の心の感性”をブレずに大切にする。それができれば時代や価値観が変わっても自分を見失ったりはしない。ということに気づかせてもらえた作品だった。
特に一番心にグサッと杭を打たれた場面は、鐘ヶ江監督と尚吾の試写室でのやり取り。感動や喜怒哀楽といった感情では分類不可の涙が溢れて止まらなかった。自分が今まで生きてきた時間で培われた感性や考え方を、頭の中から抜き出して暴かれたような、裸にされるよりも凄まじい感情の荒波にザッパーン!!!と呑まれてアイデンティティの船が沈むかと思った。

