
ジクロロ
@jirowcrew
2026年3月13日
私の東京地図
佐多稲子
読んでる
吾妻橋の上に立ちどまって、川上の方を眺めながら、川の上を低くまい飛んでいる鷗(かもめ)を指してこの叔父は、私にそれをおしえるのが自分もたのしそうに言ったことがある。
「鷗だがね。隅田川の上では、都鳥っていうんだよ」
(『橋にかかる夢』)
「隅田川の上では」
場所により肩書きが変わるのは、
人間だけではないと教わる、吾妻橋の上。
渡りゆく人々を他所に、
川の上から二人で眺める鷗。
これから変わりゆくであろう街と何もない空。
それを「たのしそうに」おしえる叔父、淡い描写、
東京育ち、いい文章だなと思う。