
なすび
@osanponasubi
2026年3月14日

熟柿 (角川書店単行本)
佐藤正午
読み終わった
ネタバレあり
序盤は主人公にイライラし通しだった。思い込みが強く短絡的。消極的かと思いきや、突飛な行動で自らの首を絞める浅はかさ。でも、とにもかくにも息子のために永遠と働き続ける主人公をいつの間にか応援していた。どうかもう悪いことが起こらないように祈りながら読んでいた。
気味が悪かった熟柿という存在が一変、素敵なものに思える結びも秀逸だった。
「熟した柿が自然に落ちるのを待つように、焦らず機が熟するのを待つ」
主人公の厳しい13年を追いかけてきたからこそ、時が熟すというのはこういうことなのかとストンと腹落ちした。人生の姿勢として語られたこの台詞は、自分のこの先にも糧になるような言葉になった。つきなみだけど、こういう言葉を血肉にできるから読書って素晴らしい。言葉だけをポンと聞いても同じほどの感銘は受けてないと思うから。
主人公の精神状態の変化を感じ取れるような一人称の語りも特徴的で、内容は全然違うけれど手法として『アルジャーノンに花束を』を思い出した。
咲ちゃんと土居さんが最高だった。
パチンコ屋の斉藤と夫は許さない!




