
鷲津
@Washizu_m
2026年3月14日
マリアビートル
伊坂幸太郎
わたしの本棚
のっけからで悪いけど、実はこの小説あまり好きじゃない。この装丁と『グラスホッパー』の続編に惹かれて読んだのに
好きじゃない理由は「王子」がダメ。子供を平気でいたぶる王子がいるせいで、小説に感情移入しにくいの。ずっとソワソワ、ムカムカするって感じ
同じ理由で『死神の浮力』もダメ。まあ、これに関しては伊坂幸太郎に何の落ち度もないんだけど
だったら紹介するなよーってことなんだけど、ボツにするのは惜しいくらい小説の中での会話がイイの
今までずっと躊躇してたけど、やっぱり書くね
『グラスホッパー』と同じく、殺し屋がワンサカご登場。いい例えじゃないけど、スタローンの映画『エクスペンダブルズ』みたいな、皆さん個性的でちょっとバカっぽい
中でも一番のオススメは、ついてない「七尾」...ではなく「蜜柑」と「檸檬」
果物屋さんの話じゃないよ、あくまでも殺し屋さんの名前。ちなみに「七尾」のあだ名は"天道虫"、そしてタイトル「マリアビートル」の別名が"てんとう虫" 。
二人の会話で一番カッコいいのが
檸檬「蜜柑、おまえもだ。俺もおまえも、死んでも絶対、生き返る」
蜜柑「果物は翌年になってもまた実をつける。それと一緒か」
檸檬「復活するんだ」。
急に話は変わるけど、皆んなは前面に喋るお顔が付いた機関車って好き?(敢えて「トーマス」と言わないとこがニクい...あっ!言っちゃった)
好きなら「蜜柑」と「檸檬」の会話、堪んないよ〜例えばどんなのって?...仕方ないなー
ぼんぼんに名前を聞かれた二人
蜜柑「俺がドルチェで、そっちがガッパーナだ」
檸檬「違う、俺はドナルド、そいつがダグラス」
蜜柑「何だそれは」
檸檬「ドナルドとダグラスは、双子の黒い蒸気機関車だ。丁寧な言葉で喋るんだぜ。おやおや、これはヘンリーではありませんか...」。
ぼんぼんが殺され、緊迫した状態の(はずの)二人
蜜柑「パーシーは何だったか」
檸檬「パーシーは『みどりいろのちいさなきかんしゃです。やんちゃでいたずらがだいすきですが、とてもいっしょうけんめいにしごとをします。よく、なかまにいたずらをしますが、ぎゃくにうそをおしえられて、だまされてしまうこともあります』」
蜜柑「いつも思うが、どうしてそれを暗記できているんだ」
檸檬「プラレールのカードの説明だ。どうだ。いいだろ。簡単な説明だけど、そこにはちゃんと奥行きがある...」
あ〜こうやって書いてるだけで堪りません
読んでる最中は、この二人に感情移入しまくり
でもこの二人、結局死んじゃうんだよね。それも「七尾」の所為で。。シンパになってた分、余計に辛かった...
この小説、東京から盛岡までの新幹線の中でのお話なの。後半に向けドンドン加速していって、あっという間にエンディング... 「七尾」が籤引きで、段ボールいっぱいの果物が当たったシーン
『目の前に置かれた大きな段ボールを見て、七尾は顔を強張らせた。当籤の喜びがあるのは間違いなかったが、尻込みしたのも事実だ。「こんなにもらっても」と凍りついた笑みを浮かべる』
不幸の神に見初められたはずの「七尾」に、本当に幸運がやってきたのかどうか。彼、トランクも開けちゃったしね
そうやってホッと一息つかせて、最後の最後に...ほんと伊坂は油断ならない
『ミカンとレモンがぱかりと口を開き、喋りかけてくるような錯覚に襲われる。「ほらな、復活したろ」と勝ち誇った表情が見えた』
伊坂幸太郎、泣かせるなよ!
