
amy
@note_1581
2025年3月15日

##NAME##
児玉雨子
かつて読んだ
感想
児玉雨子さんは初めて読んだのだけど、好きな作家さんだ。テーマの切り取り方も文体もかなり好みだ
人の無遠慮さを描くことにためらいがなくて、目をそらしたくなるような言動が主人公にぶつけられて雑な扱われ方をされ、それに慣れていくことにこちらも疲れてくる。そう思った矢先に「傷つくことに疲れてきた」という一文が飛び込んできて、主人公とシンクロしているような作者にこちらの心が読まれている気持ちになった
いま私たちは増やそうと思えば容易に名前を増やすことができる。SNSだって複数アカウントで作れるし所属するコミュニティによって名前をつけかえることができる。そのコミュニティで呼ばれるその名前は間違いなくそこでしか通じないものだ。同じようにその人だけに許す呼び方もある。恋人や友人、親やきょうだいなど関係性によって呼ばれ方が変わることもある
主人公ともう1人の女の子の名前の呼び方は、私とあなただけにしか通じない言葉として立ち上ってくる。なぜそう呼ばれたかったのか、なぜそう呼べなかったのか。たかがあだ名(呼び方)かもしれないけど、二人の関係性の輪郭を作るとてつもなく大切なものだで、でもそれに気づけなかった
どうにもならないけど、たしかにあのときつながっていた。それを寂しく、眩しく思う瞬間はきっと誰にでもある

