arctic "火山列島の思想 (講談社学術..." 2026年3月16日

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2026年3月16日
火山列島の思想 (講談社学術文庫)
「純愛がすなわち殺人でしかない古代宮廷社会の構造の中で、その悲しい出生の事情にそむいて、悲恋の子は光り輝いていた」 光源氏の説明文が、あまりにも美しくてくらくらした。 源氏物語の考察において、摂政期の聖別された天皇とはどういう在り方だったのか言及されている部分がいくつかあり、どれも興味深かったので引用する。 「その門外わずか二丈のところへ出るにしても、宝剣と神璽の筥を捧げた内侍らが前と後を進み、天皇は剣と玉に挟まれて行幸するのでなければならない。自分を神聖化しているシンボルから離れることができない──それが天皇であった。」 「地面を踏ませないために、天皇の前に筵道をひろげ、後からすぐに巻き立てて、何人にもそれを踏ませないようにする特殊な方法で后の御殿にやってくる天皇。」 「適切な愛の分配機関として、摂関・大臣家に対して外戚たりうる機会を閉ざさない帝徳を持たねばならない──摂関政治期の天皇に要求されている主要な人格的要件のひとつは、これであった。」 地面を踏ませないために〜の部分で、金枝篇に出てくる『地面に足をついたせいで退位させられたミカド』を思い出した。 むかし、金枝篇を読んだ直後、ほんとにそんな天皇いたのかよ!?と思って調べたことがあった。結局判明せず、安楽椅子社会学者の戯れ事かと思ったが、もしかするとフレイザーはこのことを言っていたんだろうかね。 『悪文の構造』で数少ない良い例として引用されたのも納得の、非常に読みやすく分かりやすい文章だった。書かれた時代を考えると、読むのにもっと大変な思いをしてもおかしくなかったが、全然そんなことなかった。
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