
りなっこ
@rinakko
2025年2月14日

ボリス・ダヴィドヴィチのための墓
ダニロ・キシュ,
奥彩子
かつて読んだ
濃ゆい短篇集だった。重苦しい内容でも摑まれた。“ボルヘスの『汚辱の世界史』への対本” とのことで、なるほど…と。
歴史の表舞台には名の挙がらないアンチヒーローたちの話であり、概ね史実の再話であるらしいところで擦っている。主人公たちは、手持ちの才覚や運しか頼みにならない状況で、己の意志を曲げずに暴力的な時代を生き抜こうとする。
“いま、世界で起きていることとしても読みうる” という訳者あとがきの言葉に、はっと胸を衝かれた。とりわけ表題作や「機械仕掛けのライオン」「めぐる魔術のカード」に引き込まれた。

