
しまりす
@alice_soror
2025年3月14日

読み終わった
子供を産んだのは今でいうレイプやDVによるものだったようだ。
その後、いろんな人に助けてもらいながらなんとか少しずつ働いてシングルマザーとして子育てをする泰子。その側には中原もいて都度協力してくれた。
その後、中垣竹之助と知り合い結婚。裕福な家の長男だったため、戦前はあまりお金に困らない生活。
その間、中原が亡くなる。
戦後は少し切り詰めて生活したそうだけれど、なんと世界救世教というのに入信。いずれ宗教をやるようになるという中原の予言があたる。
その後の余生もあくせく働くという様子もなくどこか浮世離れしている。
ファムファタールといえばそうであるが、彼女は恋愛に生きたという実感はなく、まさに「思想の里」を求め歩んできた一種の求道者の感覚だったのだろうと思う。中原も小林も、彼女にとっては教会のような止まり木であったのではないか。
その点を中原は見抜き、宗教をやると予言したのではないか。
人と関わる時、その人の関わり方の癖というのが出る。長谷川泰子はそんな人の思想に寄りかかり居着く関わり方の人間だったというわけで。果たして自分はどうか、自分の周りの人間はどうか、色々と振り返って考えを巡らしてみるのも面白い。
本作の解説者各位のように、中原や小林、大岡昇平の作品はあまり読んでいないから、そちらの方面の感想はあまり深く持てなかった。これから触れていきたいと思う。


