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しまりす
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@alice_soror
読書記録として備忘録で使おうと思います。
  • 2025年6月11日
    絵のない絵本改版
    絵のない絵本改版
    貧しい絵かきが孤独に所在なく絵を描きあぐねていたところ、いつもと変わらず空にある月があらわれ、雲がはいりこんでこない限り、毎晩絵かきに話をしてくれると言う。 話したことを絵にかけば良いと。「千一夜物語」を絵であらわすことができるかもしれない。 その月が語る美しい絵画のような物語を三十一夜分並べた短編集。 月が空に輝く間、見守ってきた人々の生活や人生。月が気にかける人間は「わたしの娘」、「わたしの老嬢」と愛おしげに語る。そして親愛のキスをする。 月の光は空気の澄んでいる度合いや物理的な距離にもよるが、いつも同じように控えめに見守るように優しい光で地上を照らす。 嬉しくても悲しくても寂しくても同じようにそこにある月の視点で夜の帷の中の人間の有り様を優しく見守り慈しむ物語は、短くともそれぞれが誰かを癒し清める力を持っていると思える。 月という、時代を超え夜を上から見渡せる超越する存在によって、整合性は保った上で時間的空間的制約がなくなり、あらゆる立場の人間の他の誰にも目撃されず掬い取り得ないエピソードを愛でるよう紡ぐ。 それは、自分の掴み得ぬほど遠くにいるかもしれない、世界のどこか誰かの小さな物語だ。そういうものを想像する視点を持つことで、狭い世界で近視眼的になった独善性に溺れず心を思いやりで満たす尊さを、今も尚我々に優しく説き続けている。
  • 2025年5月31日
    ミロのことば 私は園丁のように働く
    ミロのことば 私は園丁のように働く
    ミロは究極の抽象を絵で表現する。 私にはわからない。ミロにとって理想の芸術は生硬で匿名性を帯びた作品だと言う手前、ミロの作品を観ればミロらしさがあるし、そもそも名が売れて肥大すること自体が理想の邪魔ではなかったのか。ただ、商業的に扱われることに抵抗があった故の発言なのだろう。そこはグラフィティーのアーティストたちの意図と通底する。 また、特段自分のメッセージを明確に伝えることにはこだわっていなかったと想像する。それぞれの感性で受け取る印象に委ねられる。私はというと、彼の絵を目の前にすると脳内が燃えるようで苦痛で目を背けたくなる。それは難解さ故でなく、見たくない部分まで凝縮した生の結晶だからかもしれない。
  • 2025年5月14日
    咒(まじない)の脳科学
    美の基準、時代による変遷 アメリカで最も美しい女性 →19世紀後半から20世紀初頭 歌手で女優のリリアン・ラッセル →2014年 ルピタ・ニョンゴ 英、米、カナダにおける刑務所整形プログラム 外見の変化とその後の行動変化のあいだには明らかな相関が認められた 虚像の姿が現実を変える オンライン上、仮想空間のアバター→実際の能力の変化 リーダー選びも外見的魅力度が基準 男性の顔の魅力度と男性ホルモンとの関連 男性ホルモンによって支配的資質があると評価されるタイプの顔→実際支配的 容姿のよい人は得だと言い切れる検証結果の数々 失敗は許され、成功はより賞賛される 悪意が露出すれば美人は不美人よりさらに恨まれる→関心の強さ故? 教師、アーティストなども同じ 脳は人間の価値を判断できない 平時と有事、敵味方での生命の価値が変わってしまうことを見れば、我々が生命の価値を認知できないことは明らか 人間は他人と比べないと自分の価値を決められない→ダニング=クルーガー効果 見た目に現れない価値を評価する能力こそが知性である 女性の成功について 18世紀、ドイツ、哲学者、イマヌエル・カント 学問の研究や思索で女性が成功したとしても、性に相応しい美点を破壊する 冷ややかな尊敬を受けるが異性に対しての絶大な魅力を失う 人類学者、フィッシャー 女性の経済的自立と離婚率には相関がある 17世紀フランスの宮廷人の姿を書き綴った作家 「13歳から22歳までは女、それも美しい娘になり、その後は男になりたい」 見た目で本当に得をするのは男か女か 文化圏の9割以上が男が女を容姿で選ぶ(同性愛者でも同じ) 美人は「わきまえて」いることが華 男性の成功は容姿の良さと相関関係だが、女性の成功は事務職なら相関あり、管理職なら逆効果となる→ガラスの天井 女性は女性を無意識のうちに引き下ろす 容姿の良い男性は悪い男性より幸福度は「わずかに」高く 容姿の良い女性は悪い女性よりも幸福に感じることもあるが、より不幸も強く感じる ーーーー 社会がかける咒 「公正世界仮説」「公正世界誤謬」の認知バイアス 因果応報と類似の概念、人間の行いは必ず将来の報いの原因となる 1960年代、社会心理学者、ラーナー提唱 →真実がどうかは問題でなく、どれだけ多くの人が信じているかという点が重要 →ビッグファイブで協調性と外交性が高いタイプがより信じやすい カルフーンのユートピア実験 過密化がもたらした「社会的崩壊」 社会的ストレスや競争の増加が、繁殖力の低下や攻撃的行動の増加に寄与する可能性 →現代問題の少子化に関連づけられよう ーーーー 咒がかなうということ 人間以外にも咒の行動が判明 「生まれ直し」を求めて→円環運動ということ? 人にとって鏡とは、客体化して自らを認識するツール 自他の命のつながりと咒 自他の境界は曖昧、影響しあうもの、個でありながら個ではない にもかかわらず社会的報酬や社会関係資本は自他の境界をはっきりとつけるもの 世界が「生まれ直し」(擬似円環運動?)を続けることを感じられるのは限られた人間に許される能力だろうが、より自分自身の価値を感じられる助けになるようにという咒を著者はこの本にこめる
  • 2025年5月13日
    咒(まじない)の脳科学
    外見の魅力で「能力」まで判断する社会 ただし魅力の基準は時代や地域によって異なる 虚構の姿が現実を変える →プロテウス効果……仮想的な姿を適用することで現実にも影響が現れる心理学的な現象 人は容姿の美醜に判断を左右されるという事実 脳は人間の価値を判断できない 他人と比べないと自分の価値を決められない →見た目に現れない価値を評価できる能力が知性 脳の性差による相手選びの違い 男性は相手を選ぶ時、脳の島皮質の視覚関連領域が活性化しており、ほとんど見た目以外の要素は処理されていない 女性は相手を選ぶ時、視覚関連領域はあまり使われておらず、前帯状皮質が活性化しており、相手の言動を記憶と照合して違和感がないかどうかを精査するプロセスが行われている(容姿より言動を重視)
  • 2025年4月20日
    ハリー・ポッターと炎のゴブレット<文庫新装版>(4-1)
    ・まるで戦いの前夜のような始まり方。映画で最初に亡くなったマグルが、リドル家の関係者だったことは流石に覚えていなかった ・ナギニが初登場、ヴォルデモートはナギニを搾ったエキスで生き長らえていた ・ハリーの名付け親のシリウスは冤罪と伝えておらずダーズリー家では殺人鬼の脱獄犯という認識なので、ハリーの扱いが緩くなってきた ・ウィーズリー家はハリーをダーズリー家に迎えに来る際、「煙突飛行ネットワーク」を使って暖炉を壊す、のちに元通りになるが ・シリウスから譲られたフクロウにロンは「ピッグウィジョン」と名づける ・クィディッチ・ワールドカップには使えるものは『姿現わし術』そうでないものは『移動鍵ポートキー』を使う ・魔法ゲーム・スポーツ部の部長ルード・バグマン、昔クィディッチのイングランド代表選手で、プロチーム、ウィムボーン・ワスプスでは最高のビーターだった ・国際魔法協力部の部長バーティ・クラウチ、マグルから見ても折り目正しい格好の初老の魔法使い、200ヶ国語以上話す、水中人マーピープルのマーミッシュ語、小鬼ゴブリンのゴブルディグック語など ・キャンプ場はマグルのものを使い、管理者に『忘却術』をかけ続ける ・万眼鏡オムニオキュラー/1個10ガリオンをロンが他のものを買ったことを後悔するくらいに欲しがったので、ハリーが3人分買って、ハーマイオニーは3人分のプログラムを買う ・ブルガリア代表のマスコットはレプラコーン、アイルランド代表のマスコットはヴィーラー ・試合が終わった後、酔った死喰い人デスイーターとみられる人々がマグルをいたぶって遊ぶ ・ハリーが落とした杖で、デスイーターが『闇の印』を出し、その杖をクラウチの屋敷しもべ妖精のウィンキーが拾う ・マッド-アイ・ムーディはハリーに向かって魔法を放ったマルフォイを純白のケナガイタチに変えて罰を与えた ・魔法法律によって、最も厳しく罰せられる『許されざる呪文』→『服従の呪文』「インペリオ、服従せよ」、『磔の呪文』「クルーシオ、苦しめ」『アバダ ケダブラ』 ・ハーマイオニーは可哀想な屋敷しもべ妖精たちのためにしもべ妖精福祉振興協会S・P・E・Wを立ち上げる
  • 2025年4月15日
    ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 <文庫新装版> (3-2)
    ・ディゴリーと同じく、チョウ・チャンとも本作でクィディッチの選手として登場。レイブンクローのシーカー ・レイブンクロー戦で現れたディメンターはその格好をしたマルフォイとクラッブ、ゴイル ・クィディッチの優勝戦はものすごい迫力と疾走感 ・ハーマイオニーはイースターあたりまでトレローニ先生の占い学に通った(すぐやめたのではない) ・バックビークのために3人は過去の判例資料などを調べ集めて各々が奔走する ・ハリーが忍びの地図を使った時にピーター・ペテグリューを見つけるという描写はない(実際は没収したルーピン先生がその名を見つける) ・ムーニー→ルーピン、ワームテール→ピーター・ペテグリュー、パッドフット→シリウス、プロングズ→ジェームズ ・吸魂鬼のキスを受けそうになるハリーは必死に守護霊の呪文を繰り返す ・ロンはシリウスのフクロウを飼うことになる 「愛する人が死んだとき、その人は永久に我々のそばを離れると、そう思うかね?大変な状況になるとき、いつにも増して鮮明に、その人たちのことを思い出しはせんかね?きみの父君は、きみの中に生きておられるのじゃ、ハリー。そして。きみが本当に父親を必要とするときに、最もはっきりとその姿を現すのじゃ。そうでなければ、どうしてきみがあの守護霊を創り出すことができたじゃろう?プラングズは昨夜、ふたたび駆けつけてきたのじゃ」「ハリー、きみは昨夜、父君に会ったのじゃ……きみの中に父君を見つけたのじゃよ」ダンブルドアの至言 大事な人を失った時、こうであってくれたらと思う。きっと自分の中で生きていると。 シリウス・ブラックの冤罪のようなことはどの世界でもどの時代でもある。真実は外側の器だけでも、凄まじい吸引力と破壊力がある。全てを飲み込み一変させ時には粉々にする。我々が目にする情報は昔より大量になった上に玉石混淆で、中身が真実でなくてもそう見えるもので溢れている。真実だと思われることでも後で簡単に翻り覆るけれど、それが当たり前となっていてなんの衝撃も受けず不感症気味だ。偽りの真実によって苦しんだ犠牲者など最初から存在しなかったかのように。だからこそ、普通や常識と思われることに対して、常に反目すること。権力側の言うことを簡単に鵜呑みにしないこと。そのために世界の解像度を高くする努力が必要だというメッセージを、無意識にこの作品から受け取り、幼い頃の私の柔らかな情操や思考に影響を与えたのかと思うと、このタイミングでの素晴らしい作品と出会えたことに感謝する。
  • 2025年4月14日
    ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 <文庫新装版>(3-1)
    ・ハリーは既に、マージおばさんを飛ぶ風船にし家を飛び出してきてから夜の騎士(ナイト)バスに乗る前、パッドフットに会っている ・12年前、ブラックがたった一度の呪いで13人も殺した大虐殺を起こしたと思われている ・迷子になったハリーを漏れ鍋前で捕まえたのは、コーネリウス・ファッジ ・クルックシャンクスは最初からスキャバーズが怪しいと警戒していた(ただのネズミと猫の関係ではなく) ・ウィーズリー夫妻の会話より、アズカバンにいたシリウス・ブラックの「あいつはホグワーツにいる」とちう寝言でもって、脱獄したブラックはハリーの命を狙っているヴォルデモートの右腕だと思われている ・漏れ鍋からロンドン9 3/4番線までは魔法省から車が手配された ・ヒッポグリフのバックビークはハリーを乗せて放牧場の上空を一周したあと、地上をめざした(飛翔を楽しむ間もなく) ・ピーブズは先生の中で唯一ルーピンにだけは無礼 ・ルーピンの最初の授業、真似妖怪ボガートの実技は闇の魔術に対する防衛術の教室ではなく、職員室にて行われた(洋箪笥に狭いところの好きなボガートが棲みついたため、そのままにして授業で使う、先客のスネイプがいたが始まる前に退散) ・ハリーは真似妖怪ボガートと対峙しなかった(怖いものとしてディメンターを想像してみただけ) ・最初のホグズミードにはハリーは忍びの地図を使って行かず、ルーピンの部屋でグリンデローを見せてもらいながらボガートの授業でハリーに戦わせなかったことを聞いていたらスネイプが調合した薬入りのゴブレットをルーピンのために持ってきた ・ハッフルパフの無口でイケメンなキャプテンにしてシーカーはなんとセドリック・ディゴリー、本作で既に出てきていた 「脳みそがどこにあるか見えないのにひとりでに勝手に考えることができるものは信用してはいけない」 byアーサー・ウィーズリー 魔法界でのこの至言、現代社会においてはどんなものに言い換えられるだろう。「上手い話には気をつけろ」とか「タダより高いものはない」とか?笑 ディメンターに最悪な記憶を引き摺り出される感覚、生理の時のPMSから着想を得たのでは、、なんて。時期が終わったら憑き物が落ちたかのようにケロッとするのも似てる。。まるで生まれ変わったかのよう。 前の作品のことについてだが、トム・リドルが秘密の部屋に通ずる入り口が3階女子トイレの蛇口にあるとわかった方法はなんだろう、、と不思議に思った、5年間かけたにしても女子トイレは入らないだろうなと。。
  • 2025年4月11日
  • 2025年4月11日
    女たちがつくってきたお酒の歴史
    女たちがつくってきたお酒の歴史
  • 2025年4月11日
    汚穢のリズム
    汚穢のリズム
  • 2025年4月11日
    なくなりそうな世界のことば
  • 2025年4月10日
    みんなどうやって書いてるの? 10代からの文章レッスン
    みんなどうやって書いてるの? 10代からの文章レッスン
  • 2025年4月9日
    奇書の世界史
    奇書の世界史
  • 2025年4月9日
    わたしの、本のある日々
  • 2025年4月8日
    ハリー・ポッターと秘密の部屋 <文庫新装版>(2-2)
    今時点での発見 ・例の日記についてのハリーの発言「この人、マグルの出身にちがいない。ボグゾール通りで日記を買っているんだから……」 ・「T・M・リドルという名前は、一度も聞いたことなないのに、なぜか知っているような気がした。リドルが幼いときの友達で、ほとんど記憶のかなたに行ってしまった名前のような気さえした。」ものすごい伏線 ・日記はハリーに過去の断片的な記憶を見せる前、ハリーの語りかけに結構饒舌に答えていた ・日記の記憶の中は白黒でなくカラー ・ハグリッドの小屋にきたコーネリウス・ファッジ→背の低い恰幅のいい体にくしゃくしゃの白髪頭、悩み事があるような顔の下は、細縞のスーツに真っ赤なネクタイ、黒い長いマントを着て先の尖った紫色のブーツという奇妙な組み合わせの服装だった。ライムのような黄緑色の山高帽を小脇に抱えている ・ジニーは秘密の部屋に連れ去られる前、ハリーたちに事情を打ち明けようとしていたが、パーシーが勘違いして妨害 ・トム・リドル在学中、ダンブルドアは『変身術』の先生 ・バジリスクと配管内での追いかけっこはなくて、アクションシーンは結構サラッと書いてある ポリジュース薬を使うより、透明マントでスリザリンに潜入すればよかったのに ハリーのフォークスを呼び寄せるシーン、ダンブルドアへの信頼の言葉に、展開は知っていてもやっぱり胸が熱くなった 今作のダンブルドアの至言「自分が本当に何者かを示すのは、持っている能力ではなく、自分がどのような選択をするかということ」 ハリーがルシウスにドビーを解放させるところ、いつもスカッとする
  • 2025年4月8日
    ハリー・ポッターと秘密の部屋 <文庫新装版>(2-1)
    今時点での発見 ・ほとんど首無しニックがピーブズを焚きつけてくれたおかげで、ハリーはフィルチの罰を受けずに済んだ ・ハリーとロンが嘆きのマートルに初めて会うのは、彼女が取り憑いている3階の女子トイレではなく、ほとんど首無しニックの絶命日パーティ(ハロウィンと同日)にて ・ギルデロイ・ロックハートの処罰(空飛ぶ車・アーサーが魔法を施した中古のフォード・アングリアでホグワーツに向かうため空を飛び途中透明ブースターが壊れてロンドンの多くのマグルに見られて且つ着陸時に暴れ柳を傷つけたため)の帰りにハリー1人で最初の被害者、石化したミセス・ノリスを見つけたのではなく、ほとんど首無しニックの絶命パーティの帰りにハリー、ロン、ハーマイオニーの3人で出くわす。処罰の時は恐ろしいバジリスクの声をハリーだけが聞くのみ ・ロンがアラクノフォビア(生きているの限定)なのは、3歳の時フレッドのおもちゃの箒の柄を折ったことの仕返しに、フレッドがロンのテディ・ベアをばかでかい大蜘蛛に変えたから ふと思ったのだが、ハグリッドとニュート・スキャマンダーは同じ魔法生物好きとして馬が合うはず、関わりはあったのか。。時代が違いすぎる?なんならビル・ウィーズリーも。先の作品で関わりがあって欲しいな
  • 2025年4月3日
    咒(まじない)の脳科学
    自分で自分の発した言葉に驚かされることがある →意味理解に使われる脳機能部位と、音声言語を発するための脳機能部位が異なっていて。おたがいに連絡をとるには遠い距離にあるため 発した言葉が無意識のレイヤーに影響する 真言、陀羅尼、アル=クルアーン「読誦されるもの」などは読まれる音を大事にし、美しい響きを持つ 認知科学的には美しい音の連なりやくり返しには、人間の思考を止める力がある 人間の一生は不完全情報ゲーム 戦略立案能力や論理的な最善手を迅速に探す能力よりも、「相手がどう考えるか」を読む心理戦 近年、脳科学ブームが続いているのは、脳科学がこうした技術の源泉になり得る科学的な根拠を与えるものだと一般に考えられているから 呪詛による突然死、Voodoo Death(ヴードゥー・デス) 「誰かからネガティブで攻撃的な感情を向けられているに違いない」という信念がアドレナリンの動態を変化させることによって心血管系が深刻なダメージを受け、それが死につながるという生理学者による考え方 プラシーボ効果、ノーシーボ効果 偽薬でODに至るケースも、医療の現場での言葉の選び方や伝え方にもある程度の配慮が必要 「競争に負けたオス」の負けグセが子に伝わる実験 虐待された側がする側になるという説 私たち人間の脳は苦痛よりも、快楽に弱くできている 正義中毒より根深い依存の実態 空気がルールの「コンプライアンス中毒」 依存症というのは本人の意志の力や心の弱さなどといった個人の資質に拠るものではなく、そもそも人間には快楽に抗える仕組みがないために、極めてベーシックな人間の(あるいは生物の)脳の機構を由来として起こるということを知っておく必要がある サイコパスは反社会性パーソナリティに分類される しかし、大衆の声が認知構造を支配せんとする時代となったいま、場合によっては、向社会性を維持しようとする大多数の人々のほうが、少数の反社会性パーソナリティの個体よりもずっと恐ろしいという現象が周期的に起こるようになった 「ウソをつく脳」が恋愛強者か恋愛弱者かの分かれ目 男性では恋愛経験の乏しい人ほど正直者 報酬が期待されるときに側坐核の活動がより高くなる人ほど、ウソをつく割合が高い 側坐核というのは、脳におけるいわゆる“快楽中枢”である 自分たちはそれと気づくことができないほど、私たちは自分たちのつくった虚構の中に搦めとられて生きており、この虚構を制する力を持つ者が世界を制すると言っても過言ではない なぜ人は「わかりやすいもの」を見下すのか 現代アートはただ心地よく美しいだけでは価値を持たない、わかりにくく「難解」であることこそがその作品の質の高さを担保するのだという、ある種のスノビズムがこの中に内包されている バーラインの理論、覚醒レベルを上昇させる刺激特性を「覚醒ポテンシャル」と呼び、複雑さや新奇さがその刺激に相当する 感性評価と覚醒レベルの関係は逆U字型の関数になると考えられる つまり、理解しやすく、よく見知った刺激に対しては、単純であるとして物足りなさを感じ、時には批判するが、覚醒水準を最適にする刺激の値ーーどの程度の単純さと複雑さを持った刺激ならば最も快を高められるのかーーは、感情の種類、そして受け手によっても異なる わかりやすさを理由に最初から敬遠して見ることすらしない人、というのは、この覚醒ポテンシャルのレベルが一定以上でないともう満足できなくなってしまった、閾値の上がりすぎた人 より難解で、複雑で、わかりにくいものに新奇性を感じるため、好もしく思う 現代アートの面白さは作品ないしは展示というひとつの「虚構」を通じて、現実を客体化して見る目を鑑賞者にもたらしてくれる点
  • 2025年4月2日
    246
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    引き続き自身の娘さんとの心温まる日常、ディック・フランシス『奪回』、長岡出身のヨットマン多田雄幸から依頼の新潟講演「行形亭(いきなりや)」にて話は冒険で最後はを冒険のシジフォス」植村直己について、帰路中に読んだ植村直己について長尾三郎『マッキンリーに死す』とラインホルト・メスナー『エヴェレストーー極点への遠征』、芹沢博文の例会不参加につきお詫びに会費だけでもと自宅まで娘を連れて、米長邦雄の「濁り」について、藤原新也「乳の海』、中公にてジャーナリズム論、映画『カイロの紫のバラ』、『一瞬の夏』苦心してつけた題名が実はこの連載を始める2年前に高安国世の詩集で存在していた(大岡信の「折々のうた」より判明)、ロバート・キャパの伝記翻訳について翻訳の大家の永井淳に研究社の新英和大辞典を薦められる、ジョージ・ウィンストン『オータム』を聴きながら今後の視界の晴れない見通しに思いを馳せる、吉行淳之介論の執筆につきの彼の著書を雑読『湿った空乾いた空』もともとは小野実の『何でも見てやろう』を素材とした異国論が連載化したもの「異国への視線」、相手の既知のことだけでなく知りえない意識の上に乗せてもいないことを引き出せるような優れたインタヴュアーである吉原敦子さんのインタヴューを受ける『馬車は走る』を取り上げるにあたって、原稿用紙に意味をなさない抽象的な図形を悪戯書き→執筆前の儀式のようなもの、4日間の鹿児島の養蜂家取材『たくさんのふしぎ』「ハチヤさんの旅」、銀座の飲み屋帰りのタクシーの運転手談:子供は3歳までの可愛さをもって親孝行を既に終えている 「ジャーナリズムの熱狂」p.294-296 「永野一男刺殺事件、日航機墜落事件、三浦和義逮捕劇」の年 「『異様』だったのは、事件そのものであるより、マスコミであるかのようでもあった。」 ジャーナリストとはなにか。ジャーナリストの数だけあるが、伝える価値があると思われる情報をできるだけ早く伝えようとする者と定義すれば、沢木は「伝える価値のある情報」とも「できるだけ早く伝えよう」とすることとも無縁と語る 「自分に興味のある対象を、自分とその対象との関係を完結させるためだけに書いてきた。伝えるべき相手である読者への視点がまったく欠落している。……ジャーナリズムというものに必須の、『いま』という時代に対する信仰心を欠いている。ジャーナリストとは、『いま』という時代に爪痕を残すために、永遠を断念する者……しかし、私はやはり、永遠とまでいかないにしても、時間に耐えられるものを書きたいという思いを捨て去ることができない……私はジャーナリズムに身を置きながら、常にジャーナリズムからの逃走を試みている者」
  • 2025年4月1日
    ハリー・ポッターと秘密の部屋 <文庫新装版>(2-1)
    今時点での発見 ・ドビーがケーキを落としたのはメイソン夫人ではなくハリーの上 ・隠れ穴に行った後最初にしたのは庭小人の駆除 ・ダイアゴン横丁でハリーのメガネを直したのはハーマイオニーではなくモリー ・ルシウスとアーサーはフローリシュ・アンド・ブロッツ書店にて乱闘になり、ハグリッドが止めに入る
  • 2025年3月26日
    246
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    引き続き自身の娘さんとの心温まる日常、映画『台風クラブ』について、古井由吉『槿』の再読、テレビ出演の是非、雪野健作氏の永田洋子観、雪の日のチェーン装着、松本楼で芹沢博文九段の会(1年断酒明け)にて名人戦の米長邦雄敗退を巡る関係者の声、坂口弘の最終弁論をへて自分と同時期在学した同大学出身の連合赤軍事件で死んだ者たちを思い書いた「雨」、中3で課題の日記に対する先生の才能を見抜く慧眼のコメント、永田控訴審結審、杉山隆男や黒川創など新しい才能の台頭、三軒茶屋とブルックリンについて、「連合赤軍」の植垣康博とロス疑惑の三浦和義の拘置所からの返事、金子正次主演映画『竜二』監督の川島透と考え方が合い意気投合→映画作りの関与に意欲、金子正次の本『正次』を書いている生江有二との邂逅、高倉健と東宝の島谷と映画シナリオの打ち合わせ、講演受諾の原則は同じ話を二度しないことと過大な謝礼のところは敬遠すべしという2つ、眉村卓のチダカッサ、ロンドンマラソンの中継、ロスオリンピックの瀬古利彦とコーチの中村清について 古井由吉を読んでみたくなったし、映画『竜二』の川島透の作品を観たくなった。沢木耕太郎のスポーツ評はまだ十分に読めていないが、読み慣れないせいか少し強い熱のこもった物言いのようでびっくりしてしまった。本当にスポーツ好きなんだろうな。
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