
楡
@etemotust
2026年3月18日
蹴りたい背中
綿矢りさ
読み終わった
再読
再読したらほぼ覚えてなかったし、本当に解釈に迷う小説だなと思った。
「さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を結めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。」
鳴る寂しさは感傷的なロマンチックなさびしさではなく、切実に締め上げるようなさびしさだろうなと思う。
主人公のハツは控えめに言ってもかなり本人に問題が多そうなのに対して、周囲の人間は唯一の友人である絹代の対応しかりそのグループメンバーの対応しかり部活の先輩の発言しかり、かなり冷静で地に足がついている。(それはそれで、高校生ってこんなに聡いっけ?と首を傾げたくなる気もする)この対比が目を覆いたくなるような居た堪れない気持ちに追い込んでくるのだが、ハラハラしながら読んでたどり着くラストが気怠い朝方なのがとてもいい。
ハツのにな川への「蹴りたい」は嗜虐と恋慕がないまぜになった、絹代が連想しているようなシンプルな恋愛感情ではない執着なんだと私は思うし、ハツはにな川と健全なコミュニケーションをとれないまま高校生活を終えるのではと思うけど、卒業してからも度々思い出すような、熟れない硬くて苦い果実のような時期にしか結べない絆を持つんじゃないかなと思う。
