
ゆずぽんず
@made_in_umaji
1900年1月1日
二木先生
夏木志朋
買った
読み終わった
ネタバレあり
二木先生を最近読了しました。
⚠️以外ネタバレ感想です
途中で吉田というクラスメートが出てくるのですが、二木先生が吉田を「2号」主人公の田井中を「1号」と称した所が秀逸だなと思いました
最初吉田が出てきた時は、吉田と田井中は一見全然違うタイプかのように見えました。吉田はクラス内に仲間がおり、クラス内の空気の流れを作り、一見強者です。一方主人公の田井中はクラス内では浮いており、吉田をはじめとした仲間からイジメのようなものを受けているため、弱者であるといえます。しかし、彼らの行動原理・根っこは「何者かになりたい」「承認されたい・居場所がほしい」といった普遍的なもので、それを拗らせてしまった、アプローチが適切でなかった。結果だけ見ると強者と弱者と正反対のようですが、同じ欲が源泉になっていました。そして、これらの欲は自分を愛するという過程において必要不可欠なものです。
自分を愛するために、ままならない自分とどう向き合い折り合いをつけていくのかそれがテーマなのかなと私はこの「二木先生」という小説を通し感じました。
上記の感想をさらに言い換えるなら、この小説は思春期の発達課題とされている「アイデンティティの確立」についてがテーマであると言えると思います。
この小説はおそらく一般の人は後味が悪く感じるのかなと思いますが、私はむしろスッキリしたような気持ちです。小説のラスト、田井中は二木先生をかばいます。自分で自分の不始末(そもそも録音をしなければ二木先生の秘密がクラスにバレることはなかった)を主人公ができる最大の形で処理したわけです。
二木先生の問題は解決した訳では無いし、主人公が応募した小説の賞も受賞したが分からない。そして主人公がクラスになじんで皆と仲良くなったというハッピーエンドでもない。
でも、二木先生との秘密の共有・対話を通じて成長したことは二木先生を庇ったシーンから受け取ることができます。だから私はこの小説を後味の悪いというよりは、スッキリしたような気持ちで読了することができました。
最後に、私は恐らくこの小説を思春期の頃には読めなかっただろうと思います。大人になった現在でも、「黒歴史」を刺激され学生時代のアレやコレがフラッシュバックしました。本作は思春期に対する解像度が高いゆえに、厨二病を拗らせた経験のある人には特別受けるダメージが大きい。しかしそんな大人にこそ、この作品は刺さると思います。
すばらしい作品をありがとうございました!

