
読書日和
@miou-books
2026年3月20日
ロシア文学の食卓
沼野恭子
読み終わった
ロシア料理が好きなんです。
いわゆるボルシチ(といっても、ボルシチはウクライナ料理だけれど)だけではなく、旧ソ連の構成諸国――カフカスや中央アジアの料理も含めて。
そんな料理が文学と一緒に語られる一冊。
食欲と読書欲、両方を満たしてくれる本でした。カラー写真も入っているので、ロシア料理になじみがない人でも楽しめると思います。
例えば「フルコース」式の給仕。
料理が順番に運ばれてくるスタイルはフランスが本家のように思われがちだけれど、もともとはロシアが起源だそう。中世ロシアでは貧富の差が大きく、王侯貴族の食卓は豪華絢爛。一度にすべての料理を並べることができず、給仕が一品ずつ運ぶ形になったのだとか。
庶民の味として登場するのはシチー。
南部ではボルシチ、北部ではシチーが好まれる傾向があり、この二つがロシアを代表するスープなのだそう。
クレムリンの近くには、かつてツァーリの食卓専用の「白鳥の池」があったという話も印象的だった。もちろん現代では白鳥が食卓にのぼることはないけれど。
そして今ではロシア料理に欠かせないジャガイモ。
意外にも19世紀の終わり頃までロシアには定着していなかったそう。ロシア古来の野菜はカブやキャベツだったというのも面白い。
料理と文学を通して、ロシアの歴史や文化が見えてくる一冊。
読んでいたら、またロシアに旅行に行きたくなってしまった。戦争が終わって、安心して訪ねられる日が来ることを願ってやみません。

