コー
@koobs-books
2026年3月20日
ヴィヨンの妻改版
太宰治
読んでる
借りてきた
中学生のころに「人間失格」開いて読みづらい印象があったけど、今読んだらそんなことなかった。むしろスルスル読めた。
とりあえず「親友交歓」と「トカトントン」読んだ。
「親友交歓」はユーモアがあると解説に書いてあったから読んだのだが、嫌なやつの書き方が上手い。
太宰は情景描写が多くなくて、イベントや出来事を淡々と書いていくスタイルなのかな。主人公の心情も割合がそんなに多くない印象を受けた。
それもあってか、流れるように話が進み気づいたら1編読み終わってた。
このスタイルは、村田沙耶香とも似ている気がした。「コンビニ人間」とかもこれと同じように、イベントとか出来事を主人公が一歩引いて見ている感じで話が進んでいた。相手が主人公を責めている言動をしているはずなのに…
「親友交歓」も同じで、読んでてこっちがムカつくような嫌なやつなのに主人公は強い不快感を最後の方まで出さない。最後の方も、「あの人たちの言ってたことわかるなー」程度でどこまで行っても冷めてる感じ。
「トカトントン」も熱量が冷めていくときの状態をうまく書いてる。自分の心情が冷めていくのをトカトントンという音をトリガーに使いながら書いてあって、全体のリズムが良いなって思った。
朝井リョウの短編も同じような感じがした気がする(うろ覚えだけど)。トカトントンを使いながら、何度も熱が冷めていくのが繰り返されていく。最後の方はより短いスパンで繰り返されてて、リズムだけでエンタメ読んだときと同じような満足感があった。
総じて、太宰は虚無感、脱力感、無力感、諦観を滲ませながら描くのが上手い。それなのに、文章はリズミカルで淡々としてテンポがいい。うつ状態のときになるような何度も同じことをグルグル考える反芻思考的な冗長さがない。
個人的に太宰好き。