焼き海苔
@readsyakinori
2026年3月20日

青天 (文春e-book)
若林正恭
読み終わった
私にはずっと持ってる疑問があります。運動部がなんであんなに頑張るのかという疑問。どんなに頑張ってもスカウトされるのはひと握りの選手。オリンピックに出るほどうまくなる訳でもない。その技術が生活で役に立つ訳でもない。それで稼げる訳でもない。体力がつく、諦めない強い精神力を持てる、心からの友達ができる、と聞くから、まぁそうなんだろうなとは思うけど……。だからってあんなに大変な思いをしなくちゃいけないの? 先輩後輩の理不尽な上下関係を聞くにつけ、私には無関係な世界だと線を引いてきました。私自身が昔から、体が小さくて足が遅くて体力が無くて運動神経が皆無だったのが全ての原因ですが。運動して何かが上達する楽しさや、体を動かした後の爽快感など、実感した事はほぼありません。私は一度も運動部を経験しませんでした。運動部経験者に怒られるので今まで誰にも言ったことはないです。
そんな私が、この本で運動部の意義を知りました。帯にあるとおり、「人にぶつかっていないと、自分が生きているかどうかよくわからなくなくなる。」人間がいるのです。思春期の有り余るエネルギーを正しく発散する為に運動部はうってつけ。思えば、私はエネルギーが少ないのかも。主人公のアリにとっては、アメフトで体を鍛え作戦を考えチームメイトと意思疎通をし試合相手と向き合う事が、「生きる」事そのものだったのです。卒業したらもう役に立たないなんて些細な事であり、今この時に、やりたい、やらなきゃならないモノなんですね。倫理の先生との会話も面白い。アリって本当に真剣に生きてる。
試合の描写はリアリティがあって面白くてどんどん読んじゃう。アメフト用語が分かればもっと面白かっただろうな……調べろって感じですが。
オードリーの若林さんて、隣に体の大きな春日さんがいるし優しそうな顔をしているせいか、体力とか無さそうなイメージでした。部活でアメフトをやってたって聞いて驚いた覚えも。
でも、これを書くって事は、アリみたいな情熱を持っていたり、体を限界まで鍛えたりしてたんだろうなぁと、 見方が変わりました。
めっちゃかっこいいじゃん。
最後に、この本で一番印象に残ったアリのセリフを引用させて頂きます。
「いいか、最後まで戦うぞ。試合に負けて、自分にも負けたら、試合の後もずっと負けるんだよ。何日も何日も、どこに居てもずっと負ける。教室に居ても、ゲーセンに居ても、ケンタに居ても、家に居ても、ずっと負ける。だから、最後まで戦って、出し切って、お前らは明日からは勝て。オフェンスやってんなら0点はダメだ。死んでも一本取るぞ!!」(p298)