
torajiro
@torajiro
2026年3月20日
叫び
畠山丑雄
読み終わった
第174回芥川賞受賞作。
政と聖、銅鐸、恋愛、満州、万博、天皇…と散りばめられた要素は現代へのさまざまなメッセージを予感させるのですが、なんというかその予感が当たるわけでも外れるわけでもなく終わってしまって、でも著者は何か言い切って満足していそうななんだかちぐはぐな印象を受けた。
女性に振られて酒や風俗に逃げたけれど、「それはそうしなければやっていられないというよりも、そうしたほうがいいのではないか、ぐらいの気持ちで、見よう見まねで荒れてみた」という辺りやそうした過ごし方の感覚が「三七歳にして余生に入ったようですらあった」というのは面白い表現だなと感じたのですが、この切り口と提示される要素がうまくつながらないままで、うまく読めなかったかなぁという感じ。
視覚(特に色彩)、聴覚、触覚など五感への刺激を丁寧に描写するシーンも多く、「先生」の語りとも合わせて聖なるものへの接触としての儀式的な象徴を感じなくもなかったが、だとしたらもう少し鬼気迫る描写が欲しかったかな。
