okataro "ここはすべての夜明けまえ" 2026年3月21日

okataro
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@okataro007
2026年3月21日
ここはすべての夜明けまえ
身体のほとんどを機械に置き換える、「ゆうごうしゅじゅつ」を行った主人公による、100年の間にあった家族史。普通の人間よりも長く生き、見た目も変わらない主人公は、自分が見てきたこと、感じたこと、言わなかったことを記していく。  一見すると理解しがたいようでいて、どこか腑に落ちてしまう部分があり、ひらがなを多用した特徴的な文体であることも忘れて読み進めてしまった。時折、強く記憶に残る言葉が不意に漢字で表現されるたび、文章に緊張感が走る。普段は淡々と流れていく中で、その一文だけが異質な空気を放つのだ。 物語の後半になると、機械に補助してもらって書き記すようになるのだが、当然のように読むスピードが早くなり、何か大事な言葉を見逃しているんではないかと不安になった。 何もかもが終わりきった世界で、ようやく生きるための歯車が少しだけ噛み合ったかのような、安堵と切なさを内包したラストが、非常に印象的な作品だった。
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