okataro "無限病院" 2026年3月21日

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@okataro007
2026年3月21日
無限病院
無限病院
山田和子,
韓松
この本を読んでいると、幼少の頃によく見た、暗くジメジメした通路をあてもなく彷徨い藻掻く夢を思い出す。覚めない悪夢の中で、見えているものが自由自在に変化していく。暗闇は黒い生物に、長く続く通路は身体を刺す針に、遠くに見える明かりからは、気味悪い笑顔を浮かべた人の顔。そんな夢だった。空気自体が粘ついた不快感を漂わし、現実に帰ってこれないのではないかと夢の中で不安を増大させた。幼少の頃みたそんな夢の雰囲気が、この本の文章1行1行から染み出ていた。 主人公は、ある日ホテルで飲んだミネラルウォーターをきっかけに身体を壊し、市内の病院にいくことになる。そこからが地獄のはじまりで、胃の痛みと劣悪な病院内の環境と戦いながら、「治療」してもらうために院内を彷徨い続けるのだった。 中国国内の事情を詳しくは知らないため想像でしかないが、作中では、恐らく政治的、あるいは現代社会の課題が表現されているのだろう。あらゆる場所に悪夢が存在するのだろうか。仏教的な死生観と、「病む」とは何なのかを、「生きている」とは何なのかを延々と悪夢の中で探し続ける。そんな作品だった。 どうやら3部作らしいので、続編が日本で出版されたらまた読んでみようと思う。
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