
和月
@wanotsuki
2026年3月20日

カフェーの帰り道
嶋津輝
読み終わった
朝ドラのような感覚で読める作品だった!
連作短編集で読みやすいけど、しっかりと一つ一つのお話に深みがあり、続きが気になって読み進めたくなる。あまり普段本をあまり読まない人や、文学賞受賞作品を何か一つ読んでみたいな、と思った方にもオススメできる本。
カフェーで働く女給達の視点で描かれる大正から昭和、戦後の日本。女性たちの働き方含めて、読んでいて初めて知る当時の世相が沢山あり面白い。
寂れているカフェーという設定からなのか、昭和の風俗営業としてのカフェーというより、喫茶店的な場所を舞台としているのがこれまた良い。客が少なくゆったりした時間が流れるお店、穏やかなマスター、時折会話に花を咲かせながらもチャキチャキと働く女給達。前半の2篇は特に、その空気感がとても心地良かった。
しかし、中盤から時代が進むにつれてカフェー営業の取締りが厳しくなり、戦争の気配も濃くなっていく。現代までの過程を知っていても尚、どうかこの未来には繋がってくれるなと言いたくなる。戦場にいる男性達の無事を祈る女性の思いの丈を読んでいると、とても胸が苦しくなった。
過酷な時期を経て、それでも生きねばと前を向いた彼女達の強さが、現代まで繋がってきたバトンのように感じられた。読みやすい物語だからこそ、この本を多くの人に読んで欲しい。
読み終わったあと、今を生きる私達の背中を押してくれるような力を持つ作品だった。



