きくへい
@KikuchiKohei
2026年3月21日
ユニクロ
杉本貴司
読み終わった
ユニクロの黎明期から現在までの正史を描いた本。ひとつ一つのエピソードの強度が高いので、読み物としてめちゃくちゃ面白い。後半の有明倉庫辺りは、エピソード弱くてまじつまらんが。全体としては、順風満帆とは程遠く、綱渡りのような局面をいくつも乗り越えてきたという筋で一貫している。
ただし本の性質はやや曖昧で、不思議な位置づけにある。ジャーナリズムとして見れば、情報ソースがユニクロ経営陣に大きく偏っており、第三者的な検証は弱い。
一方で、柳井正やユニクロの自伝として読むには、著者の解釈や構成が前面に出ており、純粋な当事者の語りとも異なる。
正直、ユニクロのPRの一環でしょと、一定の距離を置いて眉唾で読むべき本だと思う。トヨタイムズみたいなものだ。ユニクロ側の取材協力体制と統制のもとで成立している語りであることは透けて見える。柳井正の神格化のために書かれた本です。
しかし、ユニクロのストーリーが強いのは、失敗は成功のために必要なこととして捉え直すことができている点だね。たいていの企業では、失敗は失敗として振り返られず、認められず、直視されず、蓋をされる。指摘されれば反発が起き、担当者は永久追放される。成功と失敗は切り離される。
それに対してユニクロは、失敗を成功に結びつけて語ることができている。失敗を成功のための必要条件だとリフレームすることに成功している。結果、企業としてのストーリーの強度が出てくる。野菜ビジネスの失敗や海外進出の失敗でさえも、黒歴史にはしない。

