
きくへい
@KikuchiKohei
- 2026年7月1日
脱法磯部涼,金風呂タロウ読後の感想としては、やっぱり脱法ドラッグを取り扱う人も、それを摂取する人も非常に良くない。いろいろ事情があるようには書かれているが、やっぱり良くない。処方薬のオーバードーズも同様だ。ここからスタートしないといけないと思う。 ただ、なぜいけないのかは、段々と分からなくなってくる。違法だから良くないのか。健康に良くないから良くないのか。 成分ごとの規制を積み重ねていった結果、より身体に悪いものが出回るようになった経緯を見ると、薬物を法で規制するだけの日本の方針が行き詰まっていることも分かる。合法と違法の境界も、処方薬のオーバードーズまで視野に入れると、段々と曖昧になってくる。 ただ、この本に出てきた脱法ドラッグに関わった人で、人生が好転したような人はいない。脱法ドラッグなんかに関わるから人生が好転しないのか、人生が好転しないから脱法ドラッグなんかに手を出すのか。 - 2026年6月24日
読み終わった読む分には面白い。 私は細木数子には一切興味がなく、むしろ嫌悪感だけはあったので、番組を見たり本を読んだりしたことがなかった。そのため、読後の感想としては、まぁめちゃくちゃな人物だし、よくこんな人間の言うことを真に受けて行動したり、お金を使ったりするものだと思った。 人間というものは、はっきりと言い切られると信じてしまうことがあるというバグを抱えているのだな、自分も気をつけないとなと思った。 ただ、事実確認は証言に依るところが多い上に、週刊誌連載をベースに書籍化したものなので、全体としてセンセーショナルな書き方になっている。テーマがテーマだけに、あまり真面目に読む本ではないというか、ほんまかいなと思いながら、眉に唾をつけて楽しみのために読む本だと思う。 やはり、溝口敦はヤクザを主軸に書いたものの方が良いなと思う。 - 2026年5月31日
新訳 大いなる遺産 上(1)ディケンズ,河合祥一郎読み終わったJ・アーヴィング『ひとりの体で』を読んでいたら、この『大いなる遺産』の話が繰り返し出てくるので、まずは『大いなる遺産』を読んでからにしようと思い手に取ったが、なかなかうまく読み進められなかった。難しいわけではないが、時代背景もあって考えることが多く、時間がかかってしまった。 内容について。 ピップがエステラにどうしようもなく心惹かれてしまう一連の描写、そして自分の身分や出自に劣等感を抱く過程と、その巧みな表現は素晴らしい。フィクションだとわかっていても心が痛む。本物で最高のフィクション。 - 2026年5月25日
- 2026年3月21日
ユニクロ杉本貴司読み終わったユニクロの黎明期から現在までの正史を描いた本。ひとつ一つのエピソードの強度が高いので、読み物としてめちゃくちゃ面白い。後半の有明倉庫辺りは、エピソード弱くてまじつまらんが。全体としては、順風満帆とは程遠く、綱渡りのような局面をいくつも乗り越えてきたという筋で一貫している。 ただし本の性質はやや曖昧で、不思議な位置づけにある。ジャーナリズムとして見れば、情報ソースがユニクロ経営陣に大きく偏っており、第三者的な検証は弱い。 一方で、柳井正やユニクロの自伝として読むには、著者の解釈や構成が前面に出ており、純粋な当事者の語りとも異なる。 正直、ユニクロのPRの一環でしょと、一定の距離を置いて眉唾で読むべき本だと思う。トヨタイムズみたいなものだ。ユニクロ側の取材協力体制と統制のもとで成立している語りであることは透けて見える。柳井正の神格化のために書かれた本です。 しかし、ユニクロのストーリーが強いのは、失敗は成功のために必要なこととして捉え直すことができている点だね。たいていの企業では、失敗は失敗として振り返られず、認められず、直視されず、蓋をされる。指摘されれば反発が起き、担当者は永久追放される。成功と失敗は切り離される。 それに対してユニクロは、失敗を成功に結びつけて語ることができている。失敗を成功のための必要条件だとリフレームすることに成功している。結果、企業としてのストーリーの強度が出てくる。野菜ビジネスの失敗や海外進出の失敗でさえも、黒歴史にはしない。 - 2026年3月8日
住宅営業マンぺこぺこ日記屋敷康蔵これは表紙やタイトルを見て、みくびってはいけない類の本だ。この不条理な社会において、働くこととはどういうことかを突きつけられる。 描かれているのは決して笑えない出来事ばかりだ。しかし読んでいると、なぜか笑えてしまう。異常な世界では異常なことが普通のことなのだ。 我々は異常な世界に住んでいる。 それは変えようがなく、笑うしかない。そんな現実に向き合いながら、笑いながら本を読む。 - 2026年3月1日
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2ブレイディみかここれが売れたってことが日本もいい国だっていうことだという証左である。遠いイギリスの生活を通じて、日本や世界のことや社会のことを想うためにみんな読んでいるのだ。 しかし、文章が上手い。 - 2026年2月21日
花の命はノー・フューチャーブレイディみかこ読み終わった聞くところによると、幸せとは資産や社会的地位そのものよりも、人との繋がりだったり、自分らしさを受け入れられているかに寄るところが大きいらしい。貧乏人も希望が持てるので非常に喜ばしい。 この本を書いている頃のブレイディさんはまさに貧困。イギリスの労働者階級家庭。問題ならばそこら辺に転がっているという環境のようだ。その中でパンクスピリットを発揮して日々の生活をサバイブして、家族や友達に感謝している様子が伝わる。幸せとはこういうものだ。 お金がないことを嘆くのはやめられないが、家族やコミュニティに感謝して、このしがない自分を受け入れようと思った。頑張ろう。 - 2026年2月15日
- 2026年1月25日
読み終わった圧倒的力作っ! 読みながら、著者に拍手を送りたくなる瞬間が何度もあった。 様々な議論を呼ぶケニア人ランナーという題材を、本作は問題点や軋轢だけでなく、その功績や一人ひとりの人間性も含めて丁寧に描き出している。とりわけガル高校について掘り下げた章は圧巻で、限られた情報を丹念に積み上げ、構造を明らかにしていく過程には、ミステリーを読んでいるかのような快感がある。清濁を合わせ飲みながら、なんとかケニア人ランナーを日本に送り込む仕組みを確立させていく様子が伝わってくる。 本作を貫いているのは、ケニア人ランナーも一人の人間であり、一人の学生であり、それぞれに人生や生活があり、駅伝に勝つための道具ではない、という極めて当たり前の視点である。しかし、その当たり前が、日本の駅伝文化や教育の現場では長く後景に追いやられてきたのではないか、という問題意識が本書の核にある。 アフリカ人ランナーが先頭を走っているにもかかわらず、テレビ中継のカメラが後方を走る日本人ランナーばかりを映す。これは日本のマラソン中継ではおなじみの光景だ。アフリカ人ランナーを特別な存在として、他者として、桁違いのものとして認識し、日本人の中だけの勝負に閉じてしまっていたことが、日本陸上界の低迷を招いてきたことは明らかだ。ケニア人ランナーの人生や人間性を知ることが、彼らを我々と同じ存在として感じることにつながり、それこそが陸上界の発展に必要なのだという提言を、本書は行っていると受け取った。 - 2026年1月18日
回転木馬のデッド・ヒート村上春樹読み終わった村上春樹的な気持ち悪さをある程度許容できる自分でも、この本は気持ち悪すぎた。雨やどりが特にやばい。気持ち悪すぎ。 全体的に面白い話もない。自意識が暴走して自分を良く見せようと書かなくてもいいことを書いて冗長になっている上に、気持ち悪さが増している。 村上春樹の中では失敗作と呼んで差し支えない。 - 2026年1月9日
イン・ザ・メガチャーチ朝井リョウ読み終わった「これを小説と言ってよいのだろうか」と思いながら、読み進めていた。 物語のために文章があるというよりも、主張を伝える手段として物語を利用しているという側面が非常に強い文章だからだ(ザ・ゴールみたいなビジネス小説に近い)。 推し活の構造、陰謀論にハマる心理、中年男性の孤独とケアの問題、家族愛の不在といった社会の仕組みや問題を伝えるための器として物語が使われている。説明は非常に丁寧で、因果の糸によって全体が明確につながって、読みやすい。味噌汁の味噌を溶かすモチーフが、脳みそが溶けていく様子のメタファーとして機能している点など、小説的技巧も効果的に用いながら、情報が論文のように整理されて、非常に構築的な文章になっている。主張は明確で、情報を読者に伝えるという点においては極めて親切な構成である。 一方で、因果関係があまりに単純で、慶彦、澄香、絢子がそれぞれの世界にハマっていく過程に説得力を感じられず、現実離れした印象を受けた。その結果、小説世界に深く入り込むことができなかった。孤独や貧困、居場所のなさが、推し活や陰謀論、中年男性の暴走に直接的につながるという描写は、さすがに単線的に過ぎる。 文章としては最高に面白かったが、小説としてはイマイチ、というのが妥当な評価ではないか。もっとも、著者自身もこれを純粋な小説として評価してほしいとは思っていないのではないか。文章として最高に面白い、それこそが全てで良いのだと思う。物語を使って人を心理的に操作するというのはこの本が言っているそのものだ。 文章テクニックとして良かった点がひとつ。会話シーンにおいて相手は話しかけているが、話しかけられている本人はその言葉を聞いておらず、別のことを考えている、という場面が複数回登場する。これは非常にうまい使い方だと思う。相手の会話によって物語に必要な背景情報を伝えつつ、セルフトークが物語を強烈にドライブしていく。 結論として、小説かどうかはどうでもいい。面白かった。 ただ、こんなもん読んだだけで推し活や陰謀論が分かったつもりになってはいけない。あれはもっと根深い。あと、中年の暴走が一番怖い。それは非常に共感。中年は気をつけよう。 - 2026年1月5日
読み終わった最初から最後まで、著者の情熱を感じる本であった。この本を書くこと自体が、著者にとっては社会運動の一部なのだと思う。つまり、社会運動が決して盛んではないと思われがちな日本においても、実際には社会運動が至るところに存在している身近なものであり、一人ひとりが社会を変えているのだということを伝えることで、読者の社会運動に対する見方を変革しようとしている。 また、社会運動論を日本に膾炙させることによって、我々が社会を社会運動論の視点から捉える力を身につければ、日本社会はより良い方向へ変わっていくだろうという著者が必死に伝えようとしていることがわかる。 社会運動についての本だと思って手に取ったが、実際には社会運動論の本であり、読むには想定以上の労力を要した。しかし、その労力をかけるだけの価値は十分にある。 同時進行で読んでいる、和田静香「中高年シングル女性」(岩波新書)ともリンクする。中高年シングルという自称はまさに集合的アイデンティティだなと読みながら思った。本当に世の中は社会運動に満ちている。 - 2026年1月4日
羽田圭介、家を買う。羽田圭介読み終わった「早く家買えよ。前半は資産運用の話ばかりじゃないか。」とも思うが、実際に家を買うとはこういうものだろう。 特に著者は家で小説を書くために、色々な条件がある。また、住んでみてはじめて気付くことがあるのも深く共感する。安っぽい内装も嫌だというのも非常にわかる。嫌だよね〜。 この本からいうと未来に生きているので、その株持っておけばとか、このタイミングでマンション買っておけばとか、色々思う。 投資や家探しに関して、後から冷静に振り返る作品は多いが、この本は進行形で頭の中を見せてくれる作品で、それがこの本の魅力なのだと思う。
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